JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2014-5
発生年月日 2013年10月07日
事故等種類 死傷等
事故等名 漁船第三十三日東丸漁船第三十一日東丸乗組員負傷
発生場所 宮城県石巻市金華山東方沖  金華山灯台から真方位087°65海里付近
管轄部署 仙台事務所
人の死傷 負傷
船舶種類 漁船:漁船
総トン数 200~500t未満:200~500t未満
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2014年05月30日
概要  A船は、船長A、機関長A、一等航海士A及び機関員Aほか5人が乗り組み、B船は、船長B及び甲板長Bほか20人が乗り組み、金華山東方沖において、両船でまき網を取り囲み、まき網から漁獲物をすくう網(以下「三角網」という。)の下部の一端に両船のウインチ用のワイヤロープを、上部の一端に両船のデリック用のワイヤロープをそれぞれ取り付け、A船の魚倉に漁獲物を取り込む作業(以下「本件作業」という。)を開始した。
 A船は、三角網の下部に取り付けたウインチ用のワイヤロープ(以下「本件ワイヤロープ」という。)を作業甲板の左舷側ブルワークの水平スチフナに船首方から船尾方にかけ、約1~1.5mの間隔で基部を溶接して取り付けられた4個の滑車を経由させ、作業甲板の左舷側最後部に設置されたウインチに接続していた。
 機関長Aは、A船の作業甲板の後部中央に設置された‘ウインチ及びデリックの操作レバー台’(以下「操作レバー台」という。)の後方に、甲板長Bは、B船の右舷後部に設置された操作レバー台の後方にそれぞれ立ち、ウインチ及びデリックの操作を行っていた。
 機関長A及び甲板長Bは、両船の作業状況を目視で確認し、口頭で指示したり、手で合図を出したりするなどして互いに連携しながら、本件作業を行っていたが、場合によっては、口頭での指示や手で合図を出さないこともあった。
 機関員Aは作業甲板の左舷側後部で、一等航海士Aは機関員Aの右後方で魚倉に氷を入れたり、三角網からこぼれた漁獲物を魚倉に入れたりするなどの作業をそれぞれ行っていた。
 甲板長Bは、三角網に漁獲物が入っていないことを視認し、魚倉への取り込みが終わったと思い、三角網をまき網へ戻すため、B船のウインチを操作してワイヤロープを巻き始めた。
 三角網をまき網に戻すには、機関長Aがウインチを操作して本件ワイヤロープを緩めなければならなかったが、機関長Aは、作業甲板上にいる乗組員に漁労作業などについての指示をしており、また、甲板長Bからの合図もなかったので、甲板長Bがワイヤロープを巻き始めたことに気付かず、本件ワイヤロープが緊張した状態となった。
 A船は、平成25年10月7日03時00分ごろ、本件ワイヤロープを経由させていた滑車のうち、最前部に設置された滑車(以下「本件滑車」という。)のアーム部が溶接された基部から外れ、滑車本体とアーム部を接続するピンが抜けて滑車本体が脱落し、本件ワイヤロープが船尾方に向かって跳ね、機関員Aの左腰付近に当たり、機関員Aが後方に飛ばされて一等航海士Aに接触し、共に転倒した。
 機関長Aは、本件作業を中断して作業甲板に駆けつけたところ、機関員Aについては意識がもうろうとしており、動かせるような状態ではなかったので、船橋右舷側の通路付近へ移動させるよう、一等航海士Aについては一等航海士Aの部屋へ運ぶように乗組員へそれぞれ指示した。
 船長Aは、本件作業が終了後、船舶所有会社に本事故の発生を報告し、機関員A及び一等航海士Aは、A船が石巻市石巻漁港に帰港後、船舶所有会社が手配した救急車で病院に搬送され、機関員Aは骨盤骨折並びに内腸骨動脈欠損及び破裂を、一等航海士Aは脳しんとう及び軽度な全身打撲をそれぞれ負っていることが分かった。
原因  本事故は、夜間、A船が、金華山東方沖において、B船と共に三角網を使用してまき網から魚倉に漁獲物を取り込む作業を行っている際、本件ワイヤロープが緊張した状態となり、本件滑車のアーム部が溶接された基部から外れ、滑車本体とアーム部を接続するピンが抜けて滑車本体が脱落したため、本件ワイヤロープが船尾方に跳ねて機関員Aに当たるとともに、機関員Aが後方に飛ばされて一等航海士Aと接触したことにより発生したものと考えられる。
 本件ワイヤロープが緊張した状態となったのは、甲板長Bが、三角網をまき網に戻そうとし、B船のウインチを操作してワイヤロープを巻き始めたが、A船のウインチを操作して本件ワイヤロープを緩める必要があったものの、甲板長Bからの合図がなく、また、A船のウインチを操作する機関長Aが、ワイヤロープが巻き始められたことに気付かなかったことによるものと考えられる。
死傷者数 負傷:2人(第三十三日東丸機関員及び第三十三日東丸一等航海士)
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。