ひとたび航空の事故/インシデントが発生すると、その発生国、登録国、運航者国、設計・製造国、原因関係者・死傷者の国籍等により、その調査には複数の国が関係します。船舶の事故/インシデントについても同様であり、事故の原因を究明し、同種事故の発生防止につなげていくためには、国内の調査の枠を超えた関係各国との協力が不可欠です。
また、鉄道分野においても類似事故の発生防止のために、事故調査情報を諸外国の事故調査機関と共有する必要があります。
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シンガポール運輸安全調査局(TSIB)において、令和2年4月から新たに鉄道事故が調査対象となったことに伴い、同局の要請を受け、運輸安全委員会では、令和5年7月31日~8月4日の5日間の日程で、シンガポール現地での鉄道事故調査官向け研修を実施しました。
研修では、日本の鉄道及び鉄道事故調査に関わる概要から個別の事故調査事例や各専門分野に関する学術的内容まで、幅広い内容について講義を行いました。
TSIBの筆頭である局長や鉄道事故調査官などに加え、シンガポール国内外の官公庁・公共交通事業者・事故調査組織となど、多様な国及び立場の方々が参加し、講義後には活発な質疑応答が行われました。
TSIBとは今後とも、令和5年3月に改正締結した協力意図表明(SOI)に基づき、鉄道事故調査に関する知識・経験・技術を共有し、それらを相互に高め合っていきたいと考えています。
令和4年9月6日、当委員会は、アルゼンチン運輸安全委員会(JST)との間で運輸(航空、船舶及び鉄道)に係る事故及びインシデント調査に関する協力についての意図表明(DOI)に署名しました。今回の協力意図表明は、2020年5月のアルゼンチン運輸安全委員会(JST)の創設を機会として、当委員会と協力覚書を締結したいとの要望を受けて締結されました。
当委員会は、現在までに7か国との間で事故等調査に係る協力意図表明を締結していますが、今回初めて航空、鉄道、船舶の3モード全てに及ぶ運輸全体の包括的な協力関係を構築する意図表明を締結しました。
内容は、両国の事故調査当局の間でお互いに運輸安全に資するために協力していくことを確認するものであり、事故及びインシデントに係る調査の一般的な手法に関する情報交換及び事故調査官の人材育成及び能力開発に対する協力等実施するもので、これにより両国の運輸安全の向上に大いに貢献するものと期待しています。