JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2024-10
発生年月日 2023年09月21日
事故等種類 死傷等
事故等名 石炭運搬船ENERGIA CENTAURUS乗組員死亡
発生場所 山口県徳山下松港第2区下松地区K-1桟橋   徳山下松港ENEOSシーバース灯から真方位228°70m付近
管轄部署 事務局
人の死傷 死亡
船舶種類 貨物船
総トン数 30000t以上
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2024年10月31日
概要  石炭運搬船ENERGIA CENTAURUSは、徳山下松港第2区下松地区K-1桟橋に着桟して荷役作業中、甲板長が、上甲板で点検作業を行っていた際、走行中の荷役装置と上甲板上の構造物の間に挟まれて死亡した。
原因  本事故は、夜間、本船が、K-1桟橋に着桟して荷役作業中、貨物倉ハッチカバーの開閉作業終了後、甲板長が、本件点検作業の目的で要注意区域である本件走行レール付近に立ち入ったため、船首方に走行してきた本件SULのSUL走行部と本件支柱の間に体を挟まれたことにより発生したものと考えられる。
 甲板長が、本件点検作業の目的で要注意区域である本件走行レール付近に立ち入っていたのは、本件点検作業に入る前、本件点検作業が短時間ですぐに完了すると思っていた可能性があり、本件油圧配管の漏油箇所を特定した後、荷役航海士に報告すれば足りると考えたことによるものと考えられる。
 本件SULが船首方に走行してきたのは、2番貨物倉等のハッチカバーが開放され、荷役作業員から荷役航海士等に荷役作業を開始する旨の連絡が入ったこと、並びに甲板長及び乗組員Aが本件点検作業に入る前、荷役航海士等に連絡していなかったことによるものと考えられる。
 甲板長が、本件走行レール付近で本件点検作業を続けていたのは、本件ステージ等の下に入り込んだ乗組員Aの様子を見るために本件支柱寄りに立って前かがみの姿勢でのぞき込み、視界が制限されるとともに、周囲の騒音により本件SULの走行中の警報音が聞こえず、その接近に気付かなかったことによるものと考えられる。
 本件SULの接触式検出装置が、本件走行レール付近にいた甲板長を検知することができず、本件SULを非常停止させることができなかったのは、同装置の船首側フレームがメカニカルストッパーとの接触を避けるために左右幅が狭められており、同フレーム端と本件支柱の間には約400mmの間隙があったことによるものと認められる。
死傷者数 死亡:甲板長
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。