報告書番号 | MA2023-10 |
---|---|
発生年月日 | 2020年07月25日 |
事故等種類 | 乗揚 |
事故等名 | 貨物船WAKASHIO乗揚 |
発生場所 | モーリシャス共和国モーリシャス島南東部の浅所 |
管轄部署 | 事務局 |
人の死傷 | |
船舶種類 | 貨物船 |
総トン数 | 30000t以上 |
報告書(PDF) | 公表 |
公表年月日 | 2023年09月28日 |
概要 | 貨物船WAKASHIOは、船長ほか19人が乗り組み、ブラジル連邦共和国トゥバラン港に向けて航行中、令和2年7月25日19時25分ごろ(モーリシャス時間)モーリシャス共和国モーリシャス島南東部の浅所に乗り揚げた。 本船は、乗組員に死傷者はいなかったが、船体に座屈等を生じ、後に座屈に伴う亀裂の発生・進展により生じた破口から燃料油が流出し、同島南東部の沿岸を汚染した。 |
原因 | 本事故の原因 本事故は、本船がモーリシャス島東北東方沖を西南西進中、同島の詳細な海岸線等が記載された海図等が入手されていない中、船長が航海計画を変更し、船長及び航海士A1がスマートフォンの通信に意識を向けた状態で同島南東部の浅所に接近する針路で航行を続けたため、同浅所に乗り揚げたものと考えられる。 船長が航海計画を変更したのは、スマートフォンの電波を受信する目的でモーリシャス島に接近する針路としたことによるものと考えられる。 本船がモーリシャス島付近の詳細な海図等を入手していなかったのは、船長が同島への入港予定がなく必要がないと思ったことによるものと考えられる。 本船は、これまでにもスマートフォンの電波を受信する目的で陸岸等への接近を繰り返していたものであり、乗組員全体の安全運航に関する意識が低下し、危険敢行性が高まっていたことが、本事故の発生に関与したものと考えられる。 被害(燃料油の流出)の原因 本船は、乗揚後、タグボートの到着までに5日以上の日数を要し、その到着後も海象等の悪化により本船への接舷及びタグラインの結合ができない状況下、船体が海底にたたきつけられたことにより座屈し、燃料油タンク付近の外板に破口を生じたため、同タンクに積載されていた約1,000tの燃料油が海上に流出し、モーリシャス島南東部の沿岸を汚染したものと考えられる。 本船の座屈により生じた破口から燃料油が流出し、油流出による被害が拡大したことについては、モーリシャス島の地域的事情、海象等の悪化及びCOVID-19の隔離措置による影響が関与したものと考えられる。 |
死傷者数 | なし |
勧告・意見 | 意見 |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。