JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2023-4
発生年月日 2020年02月29日
事故等種類 衝突
事故等名 漁船孝久丸遊漁船しんえい丸衝突
発生場所 長崎県壱岐市勝本港北方沖 若宮灯台から真方位021°1.5海里付近
管轄部署 事務局
人の死傷 死亡:負傷
船舶種類 漁船:遊漁船
総トン数 5~20t未満:5t未満
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2023年04月27日
概要  漁船孝久丸は、船長及び甲板員1人が乗り組み、長崎県壱岐市勝本港北方沖の漁場に向けて北進中、また、遊漁船しんえい丸は、船長が1人で乗り組み、釣り客5人を乗せ、遊漁の目的で漂泊中、令和2年2月29日14時17分ごろ、同港北方沖において、両船が衝突し、しんえい丸が転覆した。
 しんえい丸は、釣り客2人が死亡し、釣り客3人及び船長が負傷したほか、左舷中央部外板の亀裂等(全損)を生じ、孝久丸は、船首部外板の亀裂等を生じた。
原因  本事故は、勝本港北方沖において、孝久丸が、漁場に向けて北進中、孝久丸甲板員が、船首方に死角を生じていた状態で、しんえい丸を探知することができない設定となっていたレーダーに頼った見張りを行って航行し、また、しんえい丸が、遊漁の目的で船首を西方に向けて漂泊中、しんえい丸船長が、周囲に接近する他船はいないと思い、GPSプロッターを見て帰航予定の変更について検討するなどしながら漂泊を続けたため、両船が互いに接近していたことに気付かず、衝突したものと考えられる。
 孝久丸甲板員が、レーダーに頼った見張りを行っていたのは、ふだんからレーダーで船影を探知した場合、又は死角の範囲外に複数の船舶が点在していることを認めた場合に、左右の窓から頭を出したり、船首を左右に振ったりして、死角の範囲内の他船の有無を目視で確認していたが、本事故発生前には、レーダーに船影が映っておらず、目視でも死角の範囲外に他船を認めていなかったことにより、前路に航行の支障となる他船はいないと思い、ふだんどおりレーダーを使用して船首方の死角を補う見張りを行っていたことによるものと考えられる。
 孝久丸甲板員がレーダーでしんえい丸を探知することができなかったのは、しんえい丸との距離が約1.2Mから接近していく状況において、短パルス幅に設定された左レーダーの感度等が調整されていなかったこと、及び右レーダーが長パルス幅に設定されていたことにより、左右両レーダー共にしんえい丸を探知できない設定となっていたことによるものと考えられる。
 しんえい丸船長が周囲に接近する他船はいないと思っていたのは、上甲板の左舷中央部で魚の取り込みを手伝った後、操舵室に戻る際に右舷側で周囲を見渡して接近する他船を認めなかったことによるものと考えられる。
死傷者数 死亡:釣り客2人(遊漁船しんえい丸)、負傷:釣り客3人及び船長(遊漁船しんえい丸)
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。