JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2021-2
発生年月日 2019年10月12日
事故等種類 沈没
事故等名 貨物船JIA DE沈没
発生場所 神奈川県川崎市東扇島南東沖 川崎東扇島防波堤東灯台から真方位137˚ 1.0海里付近
管轄部署 事務局
人の死傷 死亡
船舶種類 貨物船
総トン数 1600~3000t未満
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2021年02月18日
概要  貨物船JIA DEは、船長ほか11人が乗り組み、ベトナム社会主義共和国ソンダン港に向けて京浜港を出航し、京浜港K1錨地に錨泊中、台風第19号が接近して増勢した風及び波を受け、右舷傾斜して横転及び船内に浸水し、令和元年10月12日21時39分ごろ沈没した。
 船長及び乗組員3人は救助され、乗組員8人は死亡した。
原因  本事故は、夜間、JIA DEが、京浜港K1錨地に錨泊中、台風第19号が接近して増勢した風及び波を受けて船体が動揺する状況下、波の打ち込みにより上甲板に滞留した海水(本件滞留水)が貨物倉に浸水し始めたため、操舵不能となったのちに左舷船首方から左舷側面に一段と増勢した風及び波の打ち込みを受けるようになり、船体が右舷に大きく傾斜して貨物倉への浸水が続き、復原力が低下していたことによって横転し、貨物倉内への浸水が進んで沈没したことにより発生したものと考えられる。
 本件滞留水が貨物倉に浸水し始めたのは、貨物倉通風筒の開口部蓋が開の状態となっていたこと、並びに貨物倉のハッチカバーにおいてドレン受けの破口及び変形があったことから、貨物倉の風雨密が保持されていなかったことによるものと考えられる。また、甲板上への波の打ち込みは、JIA DEの乾舷が貨物倉への浸水及び本件滞留水によって小さくなったことから、更に助長されたものと考えられる。
 JIA DEが操舵不能となったのは、船体動揺によって上甲板上の空気抜き管からA重油タンクに混入した水が燃料油と共に発電機原動機の燃料油供給配管系統から発電機原動機に供給されたことから、同原動機のシリンダ内で燃焼不良又は不着火を起こし、発電機が停止して船内電源を喪失したことによるものと考えられる。
 JIA DEは、操舵不能となって左舷船首方から左舷側面に一段と増勢した風及び波の打ち込みを受けるようになったのち、左舷側面に風及び波を受けて右舷方に傾斜し、その角度を中心に船体が動揺するようになり、台風第19号による強風及び激しい波を受けて右舷方への横傾斜が次第に大きくなったことから、復原力が最大となる角度以上に達し、引き続く波の影響で横傾斜角が増加して横傾斜が残存復原力消失角に達したので、右舷方に横転することに至ったものと考えられる。
死傷者数 死亡:乗組員8人
勧告・意見 安全勧告
情報提供
動画(MP4)

備考 関係団体への周知協力依頼
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。