報告書番号 | MA2020-8 |
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発生年月日 | 2019年12月02日 |
事故等種類 | 死傷等 |
事故等名 | 旅客フェリーフェリーつるぎ乗組員負傷 |
発生場所 | 徳島県徳島小松島港第1区のフェリーバース 徳島沖の洲導流堤灯台から真方位300°1,400m付近 |
管轄部署 | 事務局 |
人の死傷 | 負傷 |
船舶種類 | 旅客船 |
総トン数 | 1600~3000t未満 |
報告書(PDF) | 公表 |
公表年月日 | 2020年10月01日 |
概要 | 旅客フェリーフェリーつるぎは、船長ほか8人が乗り組み、徳島県徳島小松島港第1区のフェリーバース(本件フェリーバース)で離岸作業中、令和元年12月2日08時02分ごろ、遠隔操作により係船フックから放された係留索が船尾配置の二等航海士の頭部に当たり、同航海士が負傷した。 フェリーつるぎは、二等航海士が脳挫傷、外傷性くも膜下出血及び左眼窩底骨折等を負い、船尾部ハンドレールに曲損を生じた。 |
原因 | 本事故は、陸上作業員が“本件フェリーバースの船尾側に新設された防舷材”(本件防舷材)を使用した離岸方法をテストすることを知らされておらず、同離岸方法の手順を理解していない状況下、フェリーつるぎ(本船)が、本件フェリーバースにおいて離岸作業中、陸上作業員が、トランシーバで船長が二等航海士に発した「艫レッコ」の会話を聞き係留索を放す指示が発出されたと思い、係船フックの開放スイッチを押したため、緊張した船尾スプリングラインが放されて跳ね返り、同ラインのスナップバックゾーンに立っていた二等航海士の頭部付近に当ったことにより発生したものと考えられる。 陸上作業員が、本件防舷材を使用した離岸方法をテストすることを知らされていなかったのは、船長が、陸上作業員が本船内の各配置用トランシーバ通信を傍受していることから、同離岸方法をテストすることを直接伝えていなくても状況を理解してくれると思っていたことによるものと考えられる。 陸上作業員が、トランシーバで船長が二等航海士に発した「艫レッコ」の会話を係留索を放す指示が発出されたと思ったのは、本件防舷材を使用した離岸方法の手順を理解していない状況で、係留索を放す指示に遅れることがないようにトランシーバの通信に意識を向けていたことによるものと考えられる。 本件フェリーバースでの離岸作業の手順は、南海フェリー株式会社が行う安全指導等で口頭により周知されていたが、具体的な手順が安全管理規程に記載されておらず、また、係船フックの操作手順に関連したマニュアル等が作成されていなかったことは、本事故の発生に関与したものと考えられる。 |
死傷者数 | 負傷:乗組員 |
勧告・意見 | |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。