報告書番号 | RI2015-1-1 |
---|---|
発生年月日 | 2013年07月06日 |
区分 | 鉄道 |
発生場所 | 函館線 山崎駅構内[北海道二海郡八雲町] |
事業者区分 | JR |
事業者名 | 北海道旅客鉄道株式会社 |
事故等種類 | 車両障害 |
踏切区分 | |
人の死傷 | |
都道府県 | 北海道 |
報告書(PDF) | 公表/説明資料 |
公表年月日 | 2015年04月23日 |
概要 | 平成25年7月6日(土)、北海道旅客鉄道株式会社の札幌駅発函館駅行き8両編成の上り特急気第5014D列車(特急北斗14号)の運転士は、山崎駅構内を速度約130km/hで惰行運転中に機関表示灯が滅灯しているのを認め、列車を停止させた。 同運転士が車両の点検を行ったところ、4両目(車両は前から数え、前後左右は進行方向を基準とする。)の床下から発煙し、エンジン(機関)の上部に火が出ていることを認めた。同エンジンは上部が損傷しており、損傷箇所から飛散したと思われる可燃性の液体が列車の側面等に付着し、車体の一部の塗装が焼損していた。 列車には、乗客約200名及び乗務員4名(運転士、車掌、客室乗務員2名)が乗車していたが、負傷者はいなかった。 |
原因 | 本重大インシデントは、 (1) 特急気第5014D列車の4両目に搭載されていたディーゼルエンジン(DML30HZ-10024番機)の調速機に使用されているスライジングブロックが、ピンのガイドアームへの圧入端部で疲労破断したことから、同エンジンが制御 不能かつ過回転状態となり、エンジン内部のピストンや連接棒等を損傷した、 (2) 破損した連接棒がシリンダーブロックを突き破った際に発生した火花が、開口部から噴出した燃料及び機関潤滑油並びに機関冷却水に含まれた不凍性防食剤に引火し、また、それらが、高温状態の排気マニホールド、過給器、排気管等の表面に付着して発火した、 (3) その際、列車が高速で走行していたことから、上述した燃料及び機関潤滑油等が列車の後方車両に向かって飛散し、車体側面に付着したために、車体側面の表面塗装が焼損した ことにより発生したものと推定される。 本スライジングブロックのピンが一斉取替後に短期間で折損したことについては、燃料制御装置内で発生した「徒動」、「しゃくり」のような好ましくない挙動に加え、停止ストッパーボルトが同エンジンには取り付けられておらず、ピンのガイドアームへの圧入端部にメーカーの想定最大荷重の約3倍の曲げ荷重が継続的に加わっていたためと考えられる。 また、同エンジンが過回転状態となって損傷したことについては、スライジングブロックのピンが折損した場合に、コントロールラックが燃料噴射量増方向に作用する構造となっていたこと、また、過回転状態となったエンジンを強制的に停止させる仕組みがなかったことが関与していると考えられる。 本重大インシデントが発生した背景としては、車両等に重大な影響が及ぶことが懸念されるスライジングブロック及び燃料制御に関連する部品の損傷がしばしば発生した際に、同社が全社的に検討を行わずに一部の関係者のみで対策を策定していた可能性があり、その対策は、十分な調査によって得られたデータを基に分析・検討されたものではなく、対症療法的なものとなっていた可能性があることなどが考えられる。 |
死傷者数 | なし |
勧告・意見(建議) | |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 |