JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2015-4
発生年月日 2014年08月05日
事故等種類 死傷等
事故等名 漁船第十五海漁丸乗組員負傷
発生場所 青森県六ヶ所村むつ小川原港北方沖  むつ小川原港新納屋南防波堤灯台から真方位001°5.0海里付近
管轄部署 仙台事務所
人の死傷 負傷
船舶種類 漁船
総トン数 5~20t未満
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2015年03月26日
概要  本船は、船長(以下「本船船長」という。)ほか4人が乗り組み、船頭と呼称される定置網作業指揮者(以下「船頭」という。)が船長としてほか4人と乗り組んだ僚船と共に、むつ小川原港北方沖に南北方向に敷設された定置網に付着した貝等の除去作業を行っていた。
 船頭は、定置網陸側のワイヤロープの除去作業を行っていたところ、ワイヤロープ交差部において、ワイヤロープの被膜が剝がれているのを見付けたので、補修作業を行うこととした。
 船頭は、僚船がえい航していた船外機船で定置網沖側のワイヤロープの除去作業を行っていた本船に赴き、定置網作業の副指揮者を兼任していた本船船長に対し、本船及び僚船の全乗組員でワイヤロープの補修作業を行うので、船尾にクレーンを備える本船を使用すると指示した。
 本船は、定置網陸側のワイヤロープ補修箇所に移動した。
 ワイヤロープ交差部は、リングと呼称される車輪形の鋼製金具の四方に、U字形シャックルを介して、端にワイヤコース(アイの型崩れ防止及び保護のための鋼製金具)を付けた南側、北側、沖側及び陸側の各ワイヤロープ(太さ約50mm)が接続されて構成され、沖側及び陸側のワイヤロープに被膜の剝がれが生じていた。
 本船船長は、本船乗組員を指揮して補修のための準備作業を開始し、本船の船首を陸側に向け、船尾クレーンを使用して、リングを船尾甲板上の右舷舷側付近に吊り上げ、陸側ワイヤロープにキャプスタン及びビットからタレと呼称されるロープを回し掛けし、また、南側ワイヤロープに左舷船尾のキャプスタンから‘左舷船尾のビット’(以下「本件ビット」という。)を経由してタレを回し掛けして、ワイヤロープが船体から離れないように保持したのち、船尾クレーンのフックを外して準備作業を終えた。
 船頭は、本船の北側に僚船を係船させたのち、船外機船により乗組員と共に本船に移乗して本船船長と作業指揮を交替し、本船船長は、操舵室船尾方にある船員室に工具を取りに向かった。
 船頭は、補修作業を陸側ワイヤロープから始めることとし、リングから陸側ワイヤロープを外すため、‘沖側ワイヤロープのシャックル側端付近の箇所’(以下「A点」という。)に巻きロープ(以下「巻きロープ1」という。)を結び、また‘陸側ワイヤロープのシャックル側の端から作業のための遊びを設けた箇所’(以下「B点」という。)に巻きロープ(以下「巻きロープ2」という。)を結んで、右舷中央のキャプスタンを使用して巻きロープ1を、また、右舷船首のキャプスタンを使用して巻きロープ2を、それぞれAB両点間を狭めるように操作してワイヤロープの張りを緩めたのち、自ら乗組員1人と共に陸側ワイヤロープに繋がれたシャックルのシャックルピンを外した。
 本船船長は、船頭に工具を渡したのち、船尾甲板上の右舷舷側付近で作業を行っていた船頭の左舷側に立って、船頭の次の指示を待っていたが、その際、甲板上約35cmの高さにあった南側ワイヤロープを跨ぐ格好であった。
 船頭は、シャックルピンを外したものの、陸側ワイヤロープのワイヤコースがシャックルに食い込んで外れなかったので、巻きロープ1を緩め、AB両点間の張りを戻して引き抜こうと思い、右舷中央のキャプスタンの配置に就いていた乗組員に対し、足で操作することもあった機側の操作レバーを、手を使ってゆっくりと操作するように指示した。
 本船は、船頭の指示により、右舷中央のキャプスタンの操作が行われたところ、思っていた以上に巻きロープ1の緩みが大きくなり、南側ワイヤロープが本件ビットを支点にして船尾方にゆっくりと移動して、平成26年8月5日10時40分ごろ、南側ワイヤロープを跨いで立っていた本船船長は、南側ワイヤロープと船尾ブルワークとの間に右足を挟まれ、更に船尾ブルワークを越えて落水した。
 本船船長は、自力で船尾ブルワークにたどり着いたところ、船頭等により甲板上に助け上げられ、僚船に移乗して六ヶ所村尾鮫漁港に帰港し、救急車により病院に搬送され、右腓骨骨折と診断された。
原因  本事故は、本船が、むつ小川原港北方沖において、定置網の補修作業中、本船船長が船尾甲板上の南側ワイヤロープを跨いで立っていたため、沖側ワイヤロープの移動に伴って南側ワイヤロープが船尾方に移動した際、南側ワイヤロープと船尾ブルワークとの間に右足を挟まれたことにより発生したものと考えられる。
死傷者数 負傷:1人(船長)
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。