JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2015-1
発生年月日 2014年05月18日
事故等種類 転覆
事故等名 漁船第二十一たいよう丸漁船第二十一たいよう丸一号艇転覆
発生場所 千葉県南房総市野島埼東南東方沖79海里付近
管轄部署 横浜事務所
人の死傷 死亡:負傷
船舶種類 漁船:漁船
総トン数 100~200t未満:5~20t未満
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2015年01月29日
概要  A船は、船長A及び航海士Aほか21人が乗り組み、探索船(以下「C船」という。)及び2隻の運搬船(以下「D船」及び「E船」という。)と共にまき網漁の船団を組み、平成26年5月17日福島県いわき市小名浜港を出港した。
 B船は、A船の搭載艇であり、ふだん、A船の船尾に船首を固定され、操業時にA船から降ろされ、また、C船も搭載艇(以下「F船」という。)を搭載しており、操業時にはF船がC船から降ろされ、B船及びF船にそれぞれ乗組員が乗って単独運航されていた。
 航海士Aは船団の漁労長を、船長B及び甲板員B1はA船の甲板員を、甲板員B2はA船の航海士をそれぞれ兼任していた。
 本船団は、魚影を探索しながら南進し、18日04時20分ごろ魚群を探知したが、航海士Aが、A船が網を積み替えたばかりであり、また、B船が新船で、初めての操業だったので、無理をせずに潮の流れの良い海域で操業しようと考え、すぐに漁網を投入せず、移動する魚群を追い掛けながら条件の良い海域を求めて東進した。
 船長B、甲板員B1及び甲板員B2は、07時00分ごろ海面に降ろされたB船に乗り移り、07時39分ごろ、A船が漁網を海中に投入し、追尾していた魚群を巻く作業を開始した。
 A船は、航海士Aが船橋で操業の指揮を執り、船長A及びA船の乗組員が甲板上で漁労作業を行っており、魚群を巻き終えると、右舷側から漁網を揚収し始めた。
 B船は、船長Bが操舵室で操船してA船の左舷側に移動し、A船の左舷から繰り出されたY字状のワイヤに、B船から伸ばした直径約50mmのえい航索をつなぎ、甲板員B1が、船尾甲板の左舷側でえい航索の伸出作業を行い、甲板員B2が、操舵室の右舷側の甲板で、船長Bにえい航索の伸出状況を伝え、約10分間で約400m伸出し、A船を引く作業(以下「裏こぎ」という。)を開始した。
 B船は、船長Bが操舵室に、甲板員B1が左舷甲板に、甲板員B2が操舵室の後ろの右舷甲板にそれぞれ位置して裏こぎを行っていたところ、突然、右舷側に傾斜して戻らなくなった。
 航海士Aは、漁網が海面近くまで揚がって来たので、B船に機関出力の半分程度で裏こぎを行うように指示して揚網状況を観察していたが、もう少し出力を上げさせようと思って左舷側を見たところ、船橋の窓からはB船が見えず、水中に一部が漬かったえい航索だけが見えた。
 航海士Aは、窓に近寄って見ると、船首が約30°右舷側へ横振れし、少し右舷側に傾いているB船を認め、B船に無線で危ないと伝え、船団の全船に救助を行うように指示し、A船の乗組員に船内放送で状況を知らせたものの、08時05分ごろ、野島埼東南東方沖において、B船が右舷側へ横転するのを認めた。
 甲板員B2は、ハンドレールにつかまっていたが、海に投げ出されたので泳いでいると、すのこが浮いているのが見えたので、泳いで近寄り、つかまったところ、B船の船首にしがみついていた甲板員B1を認めた。
 甲板員B1は、B船が右舷側へ転覆し、海に投げ出された。
 甲板員B2は、F船に救助され、続いて甲板員B1が救助された。
 航海士Aは、A船の船橋上方の見張り台に乗組員を配置して救助の状況を見張るよう指示し、F船より船長Bが見当たらない旨の連絡を受け、捜索範囲を広げることを考え、救助した2人をF船からD船に移送させた。
 航海士Aは、海に潜ることができる乗組員2人を募ってF船に乗せ、転覆したB船の操舵室を捜索させたところ、船長Bが発見された。
 航海士Aは、救助された船長BをF船からD船に移送させ、海上保安庁に連絡をして、救助用のヘリコプターを要請するとともに、D船を陸方へ向けて航行させた。
 A船は、E船がB船を監視している間に、漁獲を中止し、C船に裏こぎを行わせて揚網を行い、その後E船がウィンチでB船を引き起こして排水作業を行い、A船の船尾にB船の船首を固定して船団の他の船と共に帰航を開始し、19時57分ごろ、千葉県銚子漁港へ入港した。
 船長B、甲板員B1及び甲板員B2は、病院へ搬送され、医師により、船長B及び甲板員B1が溺死と検案され、甲板員B2が右胸部の打撲と診断された。
原因  本事故は、野島埼東南東方沖において、B船が、A船の左舷から繰り出されたワイヤにえい航索をつないでA船の裏こぎ中、船首が右舷方向に横振れした際、えい航索で横引き状態となったため、右舷側に傾斜し、転覆したことにより発生したものと考えられる。
死傷者数 死亡:2人(第二十一たいよう丸一号艇船長及び第二十一たいよう丸一号艇甲板員)、負傷:1人(第二十一たいよう丸一号艇甲板員)
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。