JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2014-10
発生年月日 2013年06月28日
事故等種類 死傷等
事故等名 漁船第二十五天裕丸乗組員行方不明
発生場所 青森県階上町小舟渡漁港東方沖  階上町所在の階上灯台から真方位078°10.2海里(M)付近
管轄部署 仙台事務所
人の死傷 行方不明
船舶種類 漁船
総トン数 5~20t未満
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2014年10月30日
概要  本船は、船長及び甲板員が乗り組み、小舟渡漁港東方沖の漁場において、たこ籠漁の操業を開始した。
 本船のたこ籠漁では、直径約15mm、長さ約1,500~1,600mのロープを幹縄とし、幹縄の両端には、直径約15mm、長さ約100~120mの瀬縄をつなぎ、瀬縄の海底側には重さ約35kgの四爪錨を取り付けており、幹縄には約15m間隔で直径約10mmの枝縄を約80~100本接続し、各枝縄の先端にたこ籠を取り付けていた。
 船長は、‘前部甲板の右舷側ブルワーク上に設置した木製の台’(以下「リモコン台」という。)に遠隔操縦のリモコン(以下「本件リモコン」という。)を置き、本船を微速で北進させながら、‘リモコン台の船首方に設置された揚縄機’(以下「ラインホーラ」という。)を使用して揚げ籠を開始した。
 船長は、ラインホーラの船尾側に立ち、ラインホーラで瀬縄及び幹縄を巻き取り、たこ籠を約70個揚収したところ、たこ籠と錨(以下「本件錨」という。)が絡んだ状態で揚がって来たので、本件錨をリモコン台の船首側のブルワーク上に置き、巻き取った幹縄を海に戻しながら、絡みをほどく作業を行った。
 甲板員は、前部甲板の中央部で左舷側を向き、揚収したたこ籠からたこを外す作業を行っていたとき、平成25年6月28日10時40分ごろ、階上灯台から真方位078°10.2M付近において、「ガン」という音が聞こえたので、振り返ったところ、船長が落水し、本件錨及び本件リモコンがリモコン台ごとなくなっていることに気付いた。
 甲板員は、本船の右舷方の海面に浮いていた船長からクラッチを切れと言われ、操舵室に入ってクラッチを切ろうとしたが、今まで操船を行ったことがない上、操舵装置が遠隔操縦に設定されており、各種スイッチを押したり、クラッチレバーを操作したりしても全く反応がなかったが、しばらくして行きあしが止まったように感じた。
 甲板員は、前部甲板に戻り、本船の右舷方約2~3mの海面に浮いていた船長に向けて付近にあったロープを投げ、船長は、ロープにつかまったが、その後、疲れたと言ってロープから手を離した後、仰向けの状態で動かなくなり、本船が、徐々に風や波浪の影響で船長から離れていったので、携帯電話で110番に通報した。
 八戸海岸用無線局は、警察から連絡を受け、本船を無線で呼び出したが、応答がなく、また、船長の所属漁業協同組合も船長の携帯電話に連絡したが、応答がなかったので、甲板員の携帯電話に連絡したところ、甲板員から船長が落水し、本事故発生場所付近で漂流している旨を聴取した。
 本船は、捜索中の僚船に発見され、僚船乗組員の操船で小舟渡漁港に帰り、後日、潜水士の調査により、プロペラ軸に幹縄が絡んでおり、また、プロペラ翼にも欠損が生じていることが確認されたが、瀬縄に取り付けられていた本件錨は発見できなかった。
 船長は、海上保安庁の巡視船艇及び航空機、僚船などによる捜索が4日間にわたって行われたが、発見されず、行方不明となった。
原因  本事故は、本船が、小舟渡漁港東方沖において、微速で北進してたこ籠漁の揚げ籠作業中、たこ籠と本件錨が絡んだ状態で揚がって来たので、船長が、本件錨をリモコン台の船首側のブルワーク上に置き、巻き取った幹縄を海に戻しながら、絡みをほどく作業を行っていた際、幹縄がプロペラ軸に絡んだため、幹縄が緊張し、幹縄に引かれて落水したことにより発生した可能性があると考えられる。
死傷者数 行方不明:1人(船長)
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。