
| 報告書番号 | MA2013-11 |
|---|---|
| 発生年月日 | 2012年07月30日 |
| 事故等種類 | 衝突 |
| 事故等名 | 貨物船GLORIOUS GRACE貨物船第参拾壱旭洋丸衝突 |
| 発生場所 | 青森県東通村尻屋埼南東方沖 尻屋埼灯台から真方位145°13.4海里付近 |
| 管轄部署 | 仙台事務所 |
| 人の死傷 | |
| 船舶種類 | 貨物船:貨物船 |
| 総トン数 | 1600~3000t未満:200~500t未満 |
| 報告書(PDF) | 公表 |
| 公表年月日 | 2013年11月29日 |
| 概要 | 本事故が発生するまでの経過は、A船の船長(以下「船長A」という。)、B船の船長(以下「船長B」という。)及びB船の一等航海士(以下「一等航海士B」という。)の口述によれば、次のとおりであった。 (1) A船 A船は、船長Aほか11人が乗り組み、平成24年7月27日、ロシア連邦ホルムスク港を出港し、大船渡港に向かった。 A船は、30日06時00分(日本標準時、以下同じ。)ごろ、津軽海峡を航行中、昇橋した船長Aが、一等航海士から船橋当直を引き継ぎ、A船の甲板員(以下「甲板員A」という。)と共に当直に就き、濃霧のために視程が約0.1~0.2海里(M)となった状況下、前直から行われていた霧中信号を手動で行い、針路約117°(真方位、以下同じ。)及び全速力前進の速力(対地速力、以下同じ。)約7.0knで東南東進した。 A船は、06時28分ごろ、北緯41°29.2′東経141°31.6′(尻屋埼灯台から040°4.4M)付近において、針路を約160°に変針し、海潮流の影響を受け、約6.5knの速力で自動操舵によって航行した。 船長Aは、尻屋埼南東方沖において、漂泊している漁船のレーダー映像を認め、手動操舵に切り替えて航行し、オフセンターで4Mレンジとした ARPA装置付きのレーダー画面により、右舷船首20°~30°4M付近に1隻の船の映像を認めたので、レーダー画面のAISの情報によって同船の動静などを確認しようとしたが、同船のAISの情報が表示されなかったため、周囲の漁船と同様な漂泊している漁船であると思った。 船長Aは、08時35分ごろ、オフセンターで4Mレンジとしたレーダー画面により、右舷船首30°~50°1.5~2M付近に約5~10隻の漁船群の映像を認め、動静を監視したが、漁船群が移動しているように見えなかった。 船長Aは、オフセンターで2Mレンジとしたレーダー画面で右舷船首 20°~30°1.2M付近に1隻の船の映像が映っていることを認め、 ARPAによって捕捉したところ、速力が約13knであり、右舷側至近を通過するレーダー画面の表示であったが、AISの情報が表示されないので、移動中の漁船であると思った。 船長Aは、08時37分ごろ、1隻の船のレーダー映像が右舷船首方 0.5M付近に接近したとき、同船が右に変針してA船の船首方を通過するレーダー画面の表示に変わり、現在の針路を続ければ、同船の船首方に向かうので、衝突の危険を感じ、右舵一杯を取るように甲板員Aに指示し、右回頭を開始したのち、機関を停止した。 A船は、前進惰力で右回頭中、船長Aが、右舷船首方から左方に向かうB船を初めて肉眼で視認し、B船が漁船ではないことを知り、08時39分ごろ、B船を視認してから約8秒後に船首部とB船の左舷船尾部とが衝突した。 船長Aは、4M付近で認めた1隻の船のレーダー映像が、衝突したB船であったかは分からなかった。 A船は、衝突後も前進惰力で右回頭を続け、船長Aは、乗組員に船首部の損傷状況を点検させた。 船長Aは、08時45分ごろ、海上保安庁からの連絡により、B船の船名及びB船への救助が必要ではないことを知った。 A船は、19時30分ごろ青森県八戸市八戸港八太郎1号ふ頭E岸壁に着岸した。 (2) B船 B船は、船長Bほか4人が乗り組み、平成24年7月28日14時00分ごろ、京浜港川崎区を出港し、苫小牧港に向かった。 一等航海士Bは、30日06時30分ごろ、北緯40°49.9′東経 141°44.9′において、海図に船位を記入し、針路約346°及び全速力前進の約11.2knの速力で航行した。 B船は、06時45分ごろ、昇橋した船長Bが、一等航海士Bから船橋当直を引き継ぎ、単独で当直に就き、濃霧のために視程約200mとなったが、霧中信号を行わずに自動操舵で北北西進した。 B船は、尻屋埼南南東方沖において、経度が苫小牧港とほぼ同じ東経141°38′となり、同港に向ける針路約000°とし、海潮流の影響を受け、約12.5knの速力で航行した。 船長Bは、08時00分ごろ、尻屋埼南南東方沖において、オフセンターで12Mレンジとしたレーダー画面により、左舷船首15°12M付近にA船の映像を認めたが、旭洋海運株式会社(以下「B社」という。)への主機のインタークーラー及び発電機の修理の対応に関する意見を安全担当者記録簿(以下「記録簿」という。)に記入するため、操舵室左舷側後部にある海図机で作業を始めた。 船長Bは、海図机での作業をやめ、レーダーを6Mレンジに切り替え、A船のレーダー映像が左舷船首15°4M付近に接近したことを知ったが、そのうちにA船がB船を避けてくれるだろうと思い、航行を続けた。 船長Bは、その後、レーダー画面を見たが、前記の修理に関するB社の対応について考えており、レーダー画面に注意を向けていなかった。 船長Bは、A船のレーダー映像が左舷船首方1M付近に接近したことを認めたとき、衝突の危険を感じ、手動操舵に切り替えたのち、針路を約010°に変え、同映像が0.5M付近に接近したときには約040°に変針していた。 船長Bは、左舷船首方約100~200mにA船の船首を肉眼で視認し、キックを利用して衝突の衝撃を和らげようと思い、左舵一杯を取ったが、08時38分ごろ左舷船尾部とA船の船首部とが衝突した。 B船は、衝突の衝撃で右舷側に約10°傾斜し、船長Bが主機を停止した。 B船は、機関長(以下「機関長B」という。)が救命胴衣を着用する旨を叫びながら昇橋し、船長Bが乗組員に船体及び機関室の損傷箇所をそれぞれ点検させたところ、船内に浸水が認められなかった。 船長Bは、事故の発生を海上保安庁に通報し、B社に連絡した。 B船は、14時30分ごろ八戸港八太郎1号ふ頭B岸壁に着岸した。 本事故の発生日時は、平成24年7月30日08時38分ごろで、発生場所は、尻屋埼灯台から145°13.4M付近であった。 |
| 原因 | 本事故は、霧で視界制限状態となった尻屋埼南東方沖において、A船が南南東進中、B船が北進中、両船が互いに船首方に相手船をレーダーで探知していたが、船長AがB船に著しく接近することとなるかどうか又はB船と衝突する虞があるかどうかの判断を適切に行うことができず、また、船長Bがレーダーによる見張りを適切に行っていなかったため、両船が衝突したことにより発生したものと考えられる。 船長Aが、B船に著しく接近することとなるかどうか又はB船と衝突する虞があるかどうかの判断を適切に行うことができなかったのは、B船のレーダー映像を右舷船首方4M付近に認めた際、レーダー画面には、B船のAIS情報が表示されず、周囲に漂泊中の漁船の映像が映っていたので、B船も漂泊中の漁船であると思ったことによるものと考えられる。 船長Bが、レーダーによる見張りを適切に行っていなかったのは、A船のレーダー映像が左舷船首方4M付近に接近したことを認めたが、そのうちにA船がB船を避けてくれるものと思い、レーダー画面に注意を向けていなかったことによるものと考えられる。 |
| 死傷者数 | なし |
| 勧告・意見 | |
| 情報提供 | |
| 動画(MP4) | |
| 備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。