JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2013-11
発生年月日 2013年04月29日
事故等種類 死傷等
事故等名 漁船栄幸丸乗組員負傷
発生場所 新潟県粟島浦村粟島南方沖 粟島灯台から真方位185°6.3海里(M)付近
管轄部署 仙台事務所
人の死傷 負傷
船舶種類 漁船
総トン数 5~20t未満
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2013年11月29日
概要  本船は、船長が1人で乗り組み、粟島東方沖で漁網を海中に入れ、低速力で前進して船尾部両舷の網口開口板(以下「開口板」という。)を海面に落とし、引き綱を繰り出して底びき網漁を開始した。
 本船は、開口板の前面に4本のチェーン、スイベル、トーイングチェーンの順につなぎ、同板の後面に2本のチェーンをつないでおり、4本及び2本のチェーンの先端はそれぞれC環を取り付けて一まとめにしていた。また、両端にC環を取り付けた長さ約10mのロープ(以下「本件ロープ」という。)は、開口板を落とす前、一方の端のC環を4本のチェーンの先端のC環に、他端のC環を2本のチェーンの先端のC環にそれぞれ掛けていた。
 本船は、引き綱を船尾部両舷に設けたそれぞれのローラーに乗せており、ローラーの両側には木製支柱を1本ずつ備え付けていた。
 本船は、揚網時、船尾甲板の船首方にあるリールウィンチで引き綱を巻き込み、開口板を船尾端まで引き揚げ、船尾甲板両側のたつに結んだロープの先端をトーイングチェーンの鎖を通してたつに結んで開口板を固定した後、同チェーンのC環を引き綱から外し、本件ロープのC環を4本のチェーンの先端から引き綱に掛け替えていた。
 本船は、粟島南方沖で2回目の投網の作業を始め、漁網を海中に入れ、低速力で前進し、引き綱にトーイングチェーンのC環を掛けたが、引き綱に掛かっていた本件ロープのC環を4本のチェーンの先端のC環に掛け替えなかった。
 船長は、右舷の開口板を落とし、左舷の開口板を固定していたロープの一端をたつから離したが、同ロープがトーイングチェーンの鎖に引っ掛かり、同ロープのもう一端が緊張していたので、同ロープを緩めるために同チェーンに近づき、同ロープを動かしていた。
 本船は、平成25年4月29日05時00分ごろ、粟島灯台から真方位185°6.3M付近において、左舷のトーイングチェーンの鎖に引っ掛かったたつからのロープが外れ、船長は、開口板が海面に落ちて本件ロープが緊張するとともに、左足が船尾方に引っ張られ、身体が船尾部左舷側のローラーまで移動し、左足が船尾ブルワークと本件ロープとの間に挟まれた。
 船長は、腰が船尾部左舷側のローラーの両側にある木製支柱の間に挟まり、下半身を動かすことができず、近くに立て掛けていた鉤を手でつかみ、その先端を船尾甲板にある操縦装置に付いた延長レバーに引っ掛け、機関を中立とした。
 僚船は、10時40分ごろ、本船の様子がおかしいと思い、他の僚船と共に本船に近づき、本船に横着けして移乗した僚船の乗組員が、船内を確認したところ、船尾で動けない状態の船長を見付けて救助し、漁業協同組合に連絡した。
 船長は、他の僚船で新潟県村上市桑川漁港に運ばれ、救急車で搬送された後にドクターヘリに引き継がれて病院へ搬送され、左足下腿部血行障害に伴う神経麻痺と診断された。
 本船は、別の船舶にえい航され、村上市寝屋漁港に帰港した。
原因  本事故は、本船が、粟島南方沖で底びき網漁の投網作業中、船長が、左舷の開口板を固定していたロープの一端をたつから離したとき、同ロープがトーイングチェーンの鎖に引っ掛かり、開口板が海面に落下しなかったので、同ロープを外そうとして同チェーンに近づき、同チェーンと本件ロープとの間に左足を踏み入れていたため、開口板が海面に落下し、同板の後面の2本のチェーンの先端につながっていた本件ロープが緊張した際、左足が、船尾端まで引っ張られ、船尾端のブルワークと本件ロープとの間に挟まれたことにより発生したものと考えられる。
死傷者数 負傷:1人(船長)
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。