
| 報告書番号 | MA2013-10 |
|---|---|
| 発生年月日 | 2013年01月14日 |
| 事故等種類 | 転覆 |
| 事故等名 | 漁船第三十八旗昇丸転覆 |
| 発生場所 | 北海道えりも町えりも港南方沖 えりも港南外防波堤西灯台から真方位183°5.1海里(M)付近 |
| 管轄部署 | 函館事務所 |
| 人の死傷 | 死亡 |
| 船舶種類 | 漁船 |
| 総トン数 | 5t未満 |
| 報告書(PDF) | 公表 |
| 公表年月日 | 2013年10月25日 |
| 概要 | 本船は、船長、甲板員A、甲板員B、甲板員C及び甲板員Dが乗り組み、船首約0.6m、船尾約1.8mの喫水により、僚船1隻と共にえりも町笛舞漁港を出港し、僚船と別れ、えりも港の南方5M付近の漁場において、刺網漁の操業を開始した。 本船は、投網していた網を揚網して替わりの網を投網する作業を2度繰り返した後に帰港する予定であり、2度目の投網のため、船長が操舵室で単独で操船に当たって約5ノット(kn)の速力(対地速力、以下同じ。)で南西進し、北東から南西の方向に向けて投網を開始した。 本船は、揚網した2組の刺網を漁獲物が掛かった状態で数個の網袋に分けて入れて袋口を縛り、網袋が移動しないようにブルワーク等にロープで固縛し、船首甲板及び船尾甲板に1組分ずつ、積載しており、袋の重量は、全部で約4tであった。 本船は、2組分の刺網を積載して僅かに船首トリムとなり、ふだん、2組分の網を積載したときと同様、海面がスカッパー(放水口)の下端付近に達する状態であった。 本船は、縦約7cm横約19cmのスカッパーを左右舷各6か所の計12か所備え、甲板上高さ約20cmの一面に板を敷いていたため、板を外さないとスカッパーの状態を視認できない状態であり、また、揚網ドラムの真下に位置する左舷船首端のスカッパーは、揚網時に網が擦れないよう、船首方向からの浸水を防ぐカバーが外されていた。 甲板員A、甲板員B、甲板員C及び甲板員Dは、船尾甲板で投網作業中、本船が次第に左舷側に傾斜することを感じ、甲板員同士で荷崩れでもしたかなという話をしていたものの、まさか転覆することはないと思い、投網作業を続け、同作業を終えた後、漁獲物の整理作業をするために船首甲板へ移動した。 船首甲板に移動した甲板員Aは、左舷側ブルワーク上端が海面付近に達する状態になるまで左舷側に傾斜し、船首甲板上の左舷側に自身の膝くらいまで海水が滞留していることを認め、スカッパーが詰まったものと思い、ほぼ船体中央に位置する操舵室左舷側のスカッパーに手を突っ込んで詰まっていたスケトウダラを取り除いたものの、排水効果がなかったため、操舵室の船長に対し、僚船に無線で助けを求めるように大声で言った。 本船は、甲板員全員が船首甲板に移動した頃、増速して左旋回を始めており、約6~7knの速力まで増速を行い、左旋回を2周行ったものの、左舷側への傾斜が増大し、平成25年1月14日01時42分ごろ、えりも港南外防波堤西灯台から真方位183°5.1M付近において、左舷側に転覆した。 船首甲板の右舷側に避難していた甲板員A、甲板員B、甲板員C及び甲板員Dは、転覆と同時に海に投げ出され、急に周囲が真っ暗になったため、他の乗組員の状況や本船の位置の把握が困難な状況であったが、甲板員A、甲板員B及び甲板員Dは何とか自力で転覆した本船船底にたどり着いた。 付近で操業中の僚船は、本船からの救助を求める無線を受け、所属漁業協同組合(以下「組合」という。)職員に携帯電話で連絡の上、本船の捜索を開始し、組合職員は、浦河海上保安署に事態を通報するとともに、えりも救難所に連絡して捜索を依頼した。 海上保安庁の巡視船及び航空機並びに僚船は捜索を行い、甲板員A、甲板員B及び甲板員Dは、本事故発生から約1時間後に捜索中の僚船に救助され、甲板員Cは、14時40分ごろえりも港南方約9kmで発見されたものの、病院に搬送後、死亡が確認され、溺死と検案された。 船長は、潜水士によって操舵室内の捜索が行われたものの、発見されず、後日、死亡届によって除籍された。 本船は、後日、えりも港に引き揚げられた。 |
| 原因 | 本事故は、夜間、本船が、えりも港南方沖で投網しながら南西進中、下端が海面付近に達していた左舷船首端のスカッパーから浸水し、船首甲板左舷側に滞留して左舷側に傾斜したため、浸水が続き、増速及び左旋回して外方傾斜により、傾斜を復原しようとしたものの、傾斜が増大して左舷側に転覆したことにより発生したものと考えられる。 |
| 死傷者数 | 死亡:2人(船長及び甲板員) |
| 勧告・意見 | |
| 情報提供 | |
| 動画(MP4) | |
| 備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。