
| 報告書番号 | MA2013-5 |
|---|---|
| 発生年月日 | 2012年07月11日 |
| 事故等種類 | 衝突(単) |
| 事故等名 | セメント運搬船千早丸ケミカルタンカー昭豊丸衝突(護岸) |
| 発生場所 | 阪神港大阪第1区の咲洲南港北地区護岸 大阪府大阪市所在の大阪北港口防波堤灯台から真方位200°1,060m付近 |
| 管轄部署 | 神戸事務所 |
| 人の死傷 | |
| 船舶種類 | 貨物船 |
| 総トン数 | 5000~10000t未満 |
| 報告書(PDF) | 公表 |
| 公表年月日 | 2013年05月31日 |
| 概要 | A船は、船長Aほか8人が乗り組み、平成24年7月11日15時00分ごろ阪神港大阪第3区の第2突堤第5号岸壁を離岸し、船長Aが操舵室右舷側で操船に当たり、船尾係留索を放したのちに昇橋した航海士Aが、おおさかポートラジオにVHF無線電話(以下「VHF」という。)でA船の離岸時刻等を通報し、おおさかポートラジオから「ほぼ同時刻にフェリー1隻及びコンテナ船1隻が出港する」旨の情報提供を受けたのちに手動操舵に就き、大阪第3区を約284°(真方位、以下同じ。)の針路で増速しながら航行した。 船長Aは、A船の後方を同航していたコンテナ船(以下「後続船」という。)が気に掛かっていたので、ふだんより早めに全速力前進まで増速しながら阪神港内港航路の東口に向けて航行し、15時12分ごろ、速力(対地速力、以下同じ。)が約10.4ノット(kn)となった頃、右舷船首15~20°付近に大阪第1区の桜島埠頭の西方を内港航路に向けて南進するB船を初めて視認したものの、B船が右転して出港する船舶か、左転して大阪第2区又は大阪第3区に向かう船舶かが分からなかったので、A船が内港航路を西進して出港する船舶であることを示すために左転した。 船長Aは、15時13分ごろ、B船の進路信号を見てB船が大阪第3区に向かう船舶であることが分かったものの、これまでの経験上、桜島埠頭の西方を南進して大阪第3区に向かう小型の船舶は、桜島埠頭の南端付近に差し掛かった頃に左転していたので、B船もいずれ左転するので、A船が右転して桜島埠頭寄りの内港航路北側部分を航行すれば、B船と著しく接近することとなり、また、右舷後方に後続船がいたので、右転することができず、B船に対してA船の存在を知らせるために汽笛で長音1回を吹鳴するとともに、B船と右舷を対して通過するつもりで左転した。 船長Aは、15時14分ごろ、船首が約264°を向いて速力が約12.1knとなった頃、操舵室左舷側に移動してB船を確認したところ、右舷船首5°付近のB船が前路を右から左に横切る態勢であることを認め、汽笛で短音を5回以上吹鳴して警告信号を行ったが、B船の針路及び速力に変化がなかった。 船長Aは、15時15分ごろ、内港航路東口の南端付近に達した頃、B船と距離約500~600mまで接近し、衝突の虞が生じたので、機関を非常時全速力後進にかけるとともに、操舵及びスラスターを使用して衝突を避けようとしていたところ、15時16分ごろB船が右回頭して反転し、衝突が回避された。 船長Aは、B船との衝突を回避することができたものの、機関を後進にかけたことで船首が左に振れて左舷側にある咲洲南港北地区護岸(以下「本件護岸」という。)に接近したので、機関、舵及び船首尾のスラスターを種々に使用して本件護岸への接近を避けようとしたが、前進惰力で本件護岸に接近し、15時17分ごろA船の船首部が本件護岸に衝突した。 船長Aは、15時30分ごろ、A船の損傷状況及び浸水の有無等を確認したのち、海上保安庁へ本事故の発生を通報した。 A船は、自力で本件護岸から離れることができず、17時25分ごろタグボート2隻により本件護岸から引き離され、大阪第3区の岸壁に着岸した。 B船は、船長Bほか4人が乗り組み、14時55分ごろ阪神港の港外を抜錨して大阪第3区の荷役予定岸壁に向かい、進路信号として第3区港大橋以東の係留施設に向かって航行することを示す国際信号旗の第2代表旗、数字旗3及び文字旗Kを掲げ、船長Bが手動操舵に就いて単独で操船に当たり、大阪市此花区北港北地区(舞洲)と北港南地区(夢洲)との間の水路を約5.8knの速力で東進した。 B船は、夢洲北東端が右舷正横に並ぶ頃、内港航路に向ける約166°の針路として間もなく、船長Bが、15時12分ごろ、桜島埠頭南端の東南東方に内港航路に向けて西進中のA船を初めて視認したので、A船と内港航路で左舷を対して通過できるように速力を約9.5knに増速した。 船長Bは、港則法の規定により、阪神港において、総トン数500トン以下の船舶(以下「小型船」という。)であるB船が、小型船及び雑種船以外の船舶であるA船の進路を避けなければならないことを知っていたものの、ふだん、A船と同程度の出港船が港内を約8~9knの速力で航行しているので、B船が増速したことにより、A船の船首方を通過したのち、内港航路の南側部分に入って同航路の右側を東進し、A船と左舷を対して通過することができると思い、船首方の本件護岸までの距離を目測することに注意を向けて航行した。 船長Bは、15時14分ごろ、内港航路の北側境界線付近に接近した頃、A船の位置を確認したところ、A船が内港航路の本件護岸寄りを航行し、また、思っていた以上にA船に接近していることに気付いたが、B船が左転すれば、進路信号を掲げていることでもあり、A船に左舷を対して通過したいという操船の意図が伝わるのではないかと思い、左舵約5°を取って内港航路で左転を始めるとともに、更に増速した。 B船は、内港航路で左転していたところ、船首方の本件護岸までの距離が約200mとなり、また、A船との衝突の危険を感じたので、15時15分ごろ右舵一杯を取って右回頭し、内港航路の南側航路外で反転してA船との衝突を回避した。 船長Bは、大阪第3区の荷役予定岸壁に向かい、同岸壁に着岸後、来船した海上保安官からA船が本件護岸に衝突したことを知らされた。 |
| 原因 | 本事故は、阪神港大阪第1区において、A船が内港航路の南側境界線付近を西進中、B船が内港航路の北側航路外から同航路に向けて南南東進中、船長Aが、右舷船首方に同航路へ向けて航行するB船を視認し、その後、B船が大阪第3区へ向かうことが分かり、B船が左転するものと思い、右舷を対して航行するつもりで左転して本件護岸寄りに航行したが、B船が船首方を横切る態勢であることを知り、警告信号を行ったものの続航し、また、船長Bが、A船の船首方を通過したのち、同航路でA船と左舷を対して通過しようとし、A船の船首方を横切る態勢で航行したところ、A船と接近したが、左転すればA船に対して左舷を対して通過したいという操船の意図が伝わると思い、同航路に入って左転を始めたため、船長Aが、B船との衝突の虞を感じ、衝突を避けようとして機関を非常時全速力後進にかけていたところ、A船の船首が左に振れて左舷側にある本件護岸に接近し、本件護岸に衝突したことにより発生したものと考えられる。 |
| 死傷者数 | なし |
| 勧告・意見 | |
| 情報提供 | |
| 動画(MP4) | |
| 備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。