JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2013-5
発生年月日 2012年12月27日
事故等種類 死傷等
事故等名 引船らいちょう乗組員負傷
発生場所 富山県伏木富山港富山航路の北方沖 富山県富山市所在の富山東防波堤灯台から真方位356°3,400m付近
管轄部署 神戸事務所
人の死傷 負傷
船舶種類 引船・押船
総トン数 100~200t未満
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2013年05月31日
概要  本船は、船長ほか4人が乗り組み、水先人1人を乗せ、平成24年12月27日14時00分ごろ伏木富山港新湊区を出港し、富山区に入港する油タンカーDAEHO SUNRISE(総トン数3,749トン、大韓民国籍、重油積載)(以下「D号」という。)に水先人を乗船させるため、富山航路の北方沖に向かった。
 水先人は、本船のVHF無線電話でD号の船長に水先人乗船用のはしご(以下「はしご」という。)を用意してほしい旨を要請した。
 本船は、富山航路の北方沖においてD号と会合し、船首部で待機していた水先人、水先人を補助する一等機関士及び二等航海士が、D号の右舷船尾にはしごが掛っていないのを認めたので、一等機関士が、うねりがあるので、水先人に対し、D号にはしごを掛けるように要請しなくてよいかを質したところ、水先人から、D号に乗り移る際に下から身体を押してくれればよい旨の返答があった。
 本船は、一等航海士がD号への接舷操船に当たり、富山航路の北口に向けて約1~2ノットの前進惰力で南進中のD号の右舷後方から接近し、左舷後方(北)からうねりを受けながら船首部をD号の右舷船尾部に接舷したとき、本船の行きあしが強くて船首部に衝撃を受け、船首部左舷側にいた一等機関士が甲板上で転倒したので、D号から離れ、船長が操船して接舷することとした。
 本船は、D号の右舷後方から約60~70°の角度で接近し、船首部左舷側をD号の右舷船尾部に接舷したとき、二等航海士が、水先人に対して本船の船首部をD号に押さえ着けてから移乗するように要請した。
 船長は、本船をD号に対して直角となる態勢として船首部を圧着させたのち、水先人を移乗させるつもりで操船していた。
 水先人は、D号がはしごを掛けていなかったものの、D号の船尾甲板が本船の船首部よりもそれ程高くなく、本船の船首部がD号に着いたので、船首部がD号に圧着されたものと思い、「行くぞ」と声を掛けて船首部左舷側の接舷箇所に立ち、続いて一等機関士が水先人の左側に、二等航海士が水先人の右側にそれぞれ立ったとき、水先人がD号に飛び乗った。
 一等機関士及び二等航海士は、水先人がD号に飛び乗ったので、水先人が落ちないように手で水先人を支えたとき、本船が左舷後方約60~70°方向から波高約1~1.5mのうねりを受けたため、船首部が右に振れた。
一等機関士は、船首部左舷側のタイヤフェンダーの上に立ち、両手を水先人の臀部に当てて押し上げていたところ、本船の船首部が右に振れた際、両足がそろって身体が伸びきった不安定な姿勢となり、両船間の隙間に落下したが、タイヤフェンダーの穴につかまることができたので、タイヤフェンダーをよじ登ろうとしたとき、胸部が両船間に挟まれた。
 水先人は、D号の乗組員から腕を引っ張られて移乗することができたものの、右手をD号のデッキコーミングに掛けて左手で水先人が落ちないように支えていた二等航海士が、舷外に落下しそうになった一等機関士を見て左手で同機関士の衣服をつかんだものの、同機関士が落下し、本船が落水した一等機関士を救助するために後進で離れた際、同航海士も落下しそうになったが、同航海士はD号の乗組員に衣服を引っ張られてD号に引き揚げられた。
 一等機関士は、胸部を負傷したため、本船上に上がることができず、本船とD号との隙間から落水し、腰に巻いた膨張式の救命胴衣がすぐには膨張しなかったものの、防寒衣の中の空気が抜けずに身体が浮いていたので、手で救命胴衣を開いて膨張させた。
 船長は、一等機関士が落水したので、後進で下がってD号から離れたのち、操舵室の横に備付けの救命浮環を投げたものの、一等機関士に届かなかったので、本船が一等機関士に接近したところで一等航海士が海に飛び込み、一等機関士の身体にロープを掛けて舷側まで引き寄せ、甲板上に引き上げた。
 本船は、富山区の第1号岸壁に着岸し、一等機関士が、救急車により病院に搬送され、肋骨胸腰椎多発骨折及び左下腿打撲症と診断された。
原因  本事故は、本船が、伏木富山港富山航路の北方沖において、船首部をD号の右舷船尾部に接舷作業中、一等機関士が、D号に飛び乗った水先人の臀部を両手で押し上げていたところ、本船の船首部がD号に圧着されておらず、うねりによって船首部が右に振れたため、一等機関士の姿勢が不安定となって本船の船首部から落下し、本船のタイヤフェンダーにつかまったものの、胸部を両船間に挟まれたことにより発生したものと考えられる。
死傷者数 負傷:1人(一等機関士)
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。