JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2013-3
発生年月日 2011年12月14日
事故等種類 死傷等
事故等名 漁船善宝丸乗組員死亡
発生場所 北海道奥尻町青苗岬南方沖  青苗岬灯台から真方位195°2.7海里付近
管轄部署 函館事務所
人の死傷 死亡:負傷
船舶種類 漁船
総トン数 5~20t未満
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2013年03月29日
概要  本船は、船長、甲板員A、甲板員B、甲板員C及び甲板員Dほか甲板員2人が乗り組み、敷設していた底建網を回収するため、青苗港を出港し、平成23年12月14日07時30分ごろ、青苗岬の南方約2.1Mにある室津島の西方約0.8Mの海底に敷設された底建網の中央付近に東方向から西方向へ向かって進入し、船首を西方へ向けて停船した。
 本船の底建網は、網を長方形に形作るための長辺に当たる南北に張られた東西2本の型ロープ及び短辺に当たる胴張りロープ(以下「胴張り」という。)並びに身網とその両端にそれぞれ接続された金庫網及び身網の中央の東側から東側に張られた魚を誘導する手網によって構成されていた。
 本船は、船首を西方に向け、前部甲板と後部甲板のそれぞれの右舷側において、東西の型ロープの北端部をそれぞれ右舷船側まで引き上げた。
 後部甲板要員(船長、甲板員C及び甲板員D)は、東側の型ロープ(以下「本件ロープ」という。)の北端部をブリッジ後部付近の右舷側ブルワーク頂部に備え付けられたU字型のローラー(以下「本件ローラー」という。)の縦2本のローラーの間にVの字様に通してたれで固定したのち、2本の錨索を本件ロープ端部から外して延長用のロープ(以下「延長ロープ」という。)に接続し、延長ロープを右舷船尾舷側にあるたつに止め、胴張りの東端部を本件ロープから外した。
 前部甲板要員(甲板員A、甲板員B及び甲板員2人)は、後部甲板と同様に西側型ロープ北端部を固定し、2本の錨索の延長ロープを左舷船首側にあるドラムに係止した。
 船長、甲板員C及び甲板員Dは、後部甲板の作業が無くなったので、前部甲板に移動した。
 甲板員Aは、身網と金庫網を船内に引き揚げるため、金庫網の引揚げ用ロープ(以下「網引揚げロープ」という。)を船首端に水平に取り付けられたローラーを介して引き上げ、ロープをつなぎ足して機関室右舷側のドラムに向かった。
 甲板員Bは、小走りで船首甲板からブリッジの右舷側通路沿いに後部甲板に向かった。
 甲板員Cは、左舷船首側のドラムに巻いていた延長ロープが網引揚げロープと交差していたので、延長ロープをドラムから外して右舷船首のたつに掛け替えるため、網引揚げロープの巻き上げを止めるよう、甲板員Aに合図したので、甲板員Aがすぐに機関室右舷側のドラムを止めた。
 甲板員Bは、08時53分ごろ、ブリッジ右舷の船尾側付近の通路で船尾方を向き、屈み込んで作業をしていた船長から約1m手前に来たところ、本件ロープが跳ねて来て左足膝の上の辺りに当たったので、ブリッジ右舷壁に背をもたせかけるようにその場に座り込み、また、本件ロープが同時に船長にも当たり、船長が、ブリッジ右舷側通路のブリッジの船尾側付近で背中をブリッジの右舷壁にもたれるように倒れ、全く動かなくなったのを見た。
 甲板員Bは、底建網漁の経験が浅いので何のロープが当たったか分からなかった。
 本船は、甲板員Bが、気が動転しており、本件ロープが当たった約1分後に「足が折れた」と叫び、他の乗組員が本事故の発生に気付いた。
 甲板員Aは、急いで帰航するために本件ロープを固定していたたれを包丁で切ったとき、本件ロープが本件ローラーから外れていたかどうかについては覚えていなかったが、本件ロープが緊張した状態であり、本件ローラー付近でブルワーク頂部に乗って船首方に舷側沿いに延び、その後、船側外板に張り付くように斜めに延び、船体中央付近で海中に入っていたのを見た。
 本船は、甲板員Aが自宅に携帯電話で救急車を依頼し、09時30分ごろ青苗港に帰港した。
 船長は、通報を受けて到着した救急隊員により、重傷と判断され、すぐに救急車で病院に搬送されたが、10時22分に死亡し、甲板員Bは、骨折の応急処置を受けた後、函館の病院に移送されて手術を受けた。
原因  本事故は、本船が、青苗岬南方沖において、底建網漁の漁網の回収中、本件ロープを右舷側ブルワーク頂部に備え付けられた本件ローラーを通して船上に引き上げ、本件ローラー付近に固定したが、風潮流により緊張した右舷船側沿いの本件ロープが、船内側へ跳ねたため、ブリッジの右舷船尾側の通路付近で作業をしていた船長の右胸及び同通路を船尾方向に小走りで向かっていた甲板員Bの左足膝の上付近に当たったことにより発生した可能性があると考えられる。
死傷者数 死亡:1人(船長)、負傷:1人(甲板員)
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。