JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MI2013-2
発生年月日 2012年05月17日
事故等種類 運航不能(航行設備故障)
事故等名 漁業実習船海邦丸五世運航不能(機関損傷)
発生場所 東京都小笠原村沖ノ鳥島南西方沖  沖ノ鳥島一等三角点から真方位229°22海里付近
管轄部署 神戸事務所
人の死傷
船舶種類 公用船
総トン数 200~500t未満
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2013年02月22日
概要  本船は、船長及び機関長ほか19人が乗り組み、実習生32人を乗せ、平成24年5月14日沖縄県那覇港を出港して‘まぐろはえ縄漁の操業実習を兼ねた調査操業’(以下「調査操業」という。)のために沖ノ鳥島沖の漁場に向かい、17日06時00分ごろ~08時48分ごろの間、沖ノ鳥島南方において長さ約70kmのはえ縄を投入し、同島南西方23M付近で漂泊した。
 本船は、14時50分ごろ北緯20°11.0′東経135°47.0′付近において漂泊中、機関部当直の二等機関士が、揚縄準備のため、主機関を起動したのち、主機関の減速機(以下「減速機」という。)の潤滑油ポンプ(以下「本件ポンプ」という。)を起動したところ、潤滑油圧力が0.16MPa(通常は約0.33MPa)までしか上がらず、潤滑油温度が約82~84℃(通常は約36~40℃)に上昇しており、予備潤滑油ポンプ(以下「予備ポンプ」という。)が2~3回自動的に発停したことから、機関長に報告した。
 機関長は、主機関を停止し、平成24年3月の定期検査において減速機の分解整備を行った沖縄県糸満市所在の新糸満造船株式会社(以下「本件造船所」という。)と連絡を取り、本件造船所及び本件造船所経由で減速機の製造会社から助言を受けながら、本件ポンプの異状原因の調査を始めた。
 機関長は、本件ポンプの開放点検を行い、本件ポンプの歯車に多少の焼き付きが生じていたものの、使用できる状態であると判断し、本件ポンプを復旧して主機関の試運転を行ったのち、主機関を停止して減速機の潤滑油こし器(7か所)を点検したところ、各こし器が金属粉で目詰まりの状態となっており、金属片が3個混ざっていたので、減速機の潤滑油こし器の掃除及び潤滑油の補給などを行った。
 本船は、異状原因の調査を行いながら、予備ポンプだけで減速機の潤滑油供給を行うこととし、主機関を起動して可変ピッチプロペラの翼角を小角度として前後進を繰り返し行って揚縄作業中、潤滑油温度が上昇したので、再度、主機関を停止して減速機の潤滑油こし器を点検したところ、各こし器に少量の金属粉が付着していた。本船は、減速機の潤滑油こし器の掃除などを行い、予備ポンプを起動したものの、油圧が上がらないので、予備ポンプの発停を繰り返していたところ、予備ポンプから異音が発生して潤滑油温度が約120℃にまで上昇し、予備ポンプも使用することができなくなった。
 船長は、減速機及び可変ピッチプロペラが使えなくなり、自力航行できなくなったことから、19日02時27分ごろ海上保安庁に救助を要請した。
 本船は、20日06時00分ごろ沖ノ鳥島南西方53M付近において巡視船と会合し、08時00分ごろ巡視船により糸満市糸満漁港に向けてえい航が開始され、21日12時50分ごろ、沖縄島南東方283M付近において、サルベージ船にえい航が引き継がれ、23日09時ごろ糸満漁港に帰港して本件造船所の岸壁に着岸した。
原因  本インシデントは、本船が、沖ノ鳥島南西方沖において調査操業中、本件造船所が、ドック整備において、減速機の出力軸の組立作業を行った際、本件カラーを正規の位置に取り付けていなかったため、減速機の出力軸ホイールとケーシングなどが接触して金属粉及び金属片が生じ、潤滑油こし器が目詰まりして潤滑油の流量が減少したことで本件ポンプ及び予備ポンプが焼損し、減速機などへの潤滑油の供給ができなくなり、減速機などが使えなくなったことにより発生したものと考えられる。
死傷者数 なし
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。