
| 報告書番号 | MA2013-1 |
|---|---|
| 発生年月日 | 2012年08月22日 |
| 事故等種類 | 転覆 |
| 事故等名 | 漁船由香丸転覆 |
| 発生場所 | 長崎県五島市福江島大宝浦 五島市所在の大宝港南防波堤B灯台から真方位080°2,100m付近 |
| 管轄部署 | 長崎事務所 |
| 人の死傷 | 死亡 |
| 船舶種類 | 漁船 |
| 総トン数 | 5t未満 |
| 報告書(PDF) | 公表 |
| 公表年月日 | 2013年01月25日 |
| 概要 | 本船は、船長及び甲板員が乗り組み、大宝浦において、平成24年8月22日06時ごろから前日3か所に仕掛けていたいせえび刺し網の巻揚げを開始し、2か所目を揚げ終えた頃、南東方から雨雲が接近して風が少し出てきた。 本船は、船首を西方~南西方に向けながらゆっくり前進し、2反目の網を揚げていた頃、南東の風が強くなって波が高くなり、急に雨が激しく降り始めたので、船長と甲板員が固形式の救命胴衣を脱いで合羽の上衣を着用し、揚網作業を続けた。 本船は、7反目の網を揚げていた頃、雨は小降りになったが、更に風が強くなり、白波が立ってきたので、船長が、揚網作業を続けるのは危険だと思い、近くの港に避難することとし、網と網のつなぎ目のロープを放すため、ゆっくり後進しながら、甲板員が7反目の網を海中に戻し始めた。 船長は、甲板員が網を海中に戻しているとき、甲板員が網の中に足を入れたら危ないので、甲板員の足元を見ながら操船していた。 本船は、約5m後進し、甲板員が6反目と7反目の網のつなぎ目のロープを引いて7反目の網を海中に放したとき、左舷船尾から波高約2mの波が打ち込み、機関室囲壁と船尾両舷の物入れの蓋が流されて機関室と船尾物入れに浸水した。 本船は、船尾部のブルワーク上端付近から船体中央の甲板まで海水が滞留して船尾側に傾き、船体後部付近の排水口から海水が排出されない状態となった。 本船は、機関の上部まで浸水してすぐに機関が停止し、高い波を更に左舷船尾に受け、船長が波に押し流されて落水したのち、右舷船尾が沈んで左舷船首が立ち、07時20分ごろ右斜め後方に1回転して転覆した。 船長は、転覆した船内から甲板員を助け出したのち、刺し網の端に付けていた大きなブイと小さなブイを外し、大きなブイを甲板員の片手に持たせて他方の手で船長の肩を持たせ、船長が小さなブイを持って約60m離れた海岸に向けて泳ぎ始めた。 船長と甲板員は、海岸から約15mの所まで近づいたが、波が更に高くなって進めずにいたところ、大きな波を受けて別々に流され、船長が何とか海岸にたどり着いて救助を求めに行った。 船長は、釣り人の通報を受けた漁業協同組合からの連絡により救助に来た僚船に乗り、付近を漂流していた甲板員を僚船船長と2人で僚船に引き揚げ、五島市黒瀬漁港に帰港した。 甲板員は、黒瀬漁港で待機していた救急隊員に引き渡されたが、その後、溺水による死亡と検案された。 本船は、船首部を出した状態で漂流していたが、本事故後、天候が悪化し、数日間、波で岩に当たってバラバラになった。 |
| 原因 | 本事故は、本船が、大宝浦で刺し網を巻揚げ中、風速約6~7m/sの南東風が吹くようになり、波高約2mの波が発生し、左舷船尾から波が打ち込んだため、機関室等に浸水して船尾側に傾き、海面より低くなった排水口から海水が排出されず、更に左舷船尾に波を受けて転覆したことにより発生したものと考えられる。 |
| 死傷者数 | 死亡:1人(甲板員) |
| 勧告・意見 | |
| 情報提供 | |
| 動画(MP4) | |
| 備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。