JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2012-12
発生年月日 2011年11月16日
事故等種類 衝突
事故等名 コンテナ船CHASTINE MAERSK液体化学薬品ばら積船海悠21衝突
発生場所 和歌山県美浜町日ノ御埼南西方沖  紀伊日ノ御埼灯台から真方位224°2.9海里付近
管轄部署 神戸事務所
人の死傷
船舶種類 貨物船:タンカー
総トン数 30000t以上:500~1600t未満
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2012年12月21日
概要  A船は、船長A及び航海士Aほか18人が乗り組み、コンテナ2,402個を積載し、愛知県名古屋港に向けて航行中、兵庫県淡路島東方の由良瀬戸を通過したのち、平成23年11月16日20時40分ごろ、航海士Aが、船長Aから船橋当直を引き継いで操舵手と共に船橋当直に就いた。
 航海士Aは、マスト灯2個、両舷灯及び船尾灯を表示し、電子海図表示装置(ECDIS)及び自動衝突予防援助装置(ARPA)付きのレーダー2台を作動させ、操舵装置とレーダーとの間に立ち、ECDISの表示器を見ながら操船を行い、操舵手を見張りに就け、約20.0ノット(kn)の速力(対地速力、以下同じ。)で自動操舵により南進した。
 航海士Aは、21時22分ごろ、レーダーによりB船の映像を探知したので、B船の映像を捕捉して針路及び速力などの情報をECDISに表示させ、双眼鏡でB船の灯火を視認したため、ARPA情報により、B船との最接近距離、最接近時間、船首横切距離、船首横切時間などを確認し、A船がB船の左舷側を追い越してB船の船首方を通過すると判断した。また、航海士Aは、左舷船首方に反航船1隻(以下「C船」という。)とC船の左方に反航船1隻(以下「D船」という。)がいずれも右舷灯を見せて接近していることを知った。
 A船は、21時34分ごろから右転を始め、21時35分ごろD船が左舷を対して通過したのちも右転を続け、B船と接近した。
 航海士Aは、B船の針路に変化がなく、B船の左舷灯が見えるようになり、ARPAの警報音が鳴ったことから衝突の危険を感じた。
 船長Aは、21時35分ごろ自室に戻ってECDISの表示器を見たところ、A船が予定針路線から外れており、右舷前方のB船及び左舷船首方のC船と衝突する進路となっていたので、21時36分ごろ急いで昇橋したところ、B船がA船の右舷側約20mに接近していることに気付き、同時にB船から探照灯の照射を受けた。
 A船は、左舵一杯を取り、機関を停止したが、舵角が左舵一杯となる前の21時38分ごろ、北緯33°50.8′、東経135°01.3′において、A船の右舷船尾部とB船の左舷船首部とが衝突した。
 船長Aは、国際無線電話(VHF)でB船を喚呼したが、応答がなかったので、VHFにより本事故の発生を海上保安庁に通報し、海上保安庁からの指示により、A船は和歌山県日高港沖の錨地で錨泊した。
 B船は、船長Bほか5人が乗り組み、濃硫酸約1,500tを積載したのち、鳴門海峡経由で名古屋港に向けて航行中、船長Bが、鳴門海峡通過後の19時30分ごろ単独の船橋当直に就き、マスト灯2個、両舷灯及び船尾灯を表示し、約143°(真方位、以下同じ。)の針路及び約11.0knの速力で日ノ御埼の西方3M付近に向けて自動操舵により航行した。
 船長Bは、操舵装置の船尾側に立って見張りを行いながら兵庫県南あわじ市沼島の南方約5~6Mを航行中、左舷船首90~100°付近にA船の作業灯を視認し、距離が遠かったために航海灯は視認できなかったものの、大型コンテナ船が南進していることを知り、左舷側の天井に設置されたAISにより、A船の船名、長さ、針路、速力及び仕向地の情報を確認したところ、A船が、外国船でB船と同じ名古屋港向けであり、約19~20knの速力で航行していることが分かった。
 船長Bは、6MレンジとしたレーダーでA船の映像を確認したところ、A船が陸岸(日ノ御埼)寄りを航行していたので、B船の左舷側を追い越して行くものと思い、A船の映像がゆっくりとB船の映像に接近していたものの、特に危険を生じる状態ではなかったので、その後、目視及びレーダーでのA船の見張りをやめ、前方の見張りを行いながら南東進した。
 船長Bは、21時10分ごろ和歌山県白浜町市江埼に向ける針路約138°に変針して航行中、右舷前方に反航中のC船を視認し、C船とは右舷を対して約0.5M隔てて通過する態勢であったので、針路及び速力を保持して航行した。
 船長Bは、C船の動静に注意を向けて南東進中、右舷船首方に接近したC船が左転を始めたのを認め、ほぼ同じ頃に左舷側が明るくなったので、左舷後方を確認したところ、近距離に接近したA船を認め、手動操舵に切り換えて右舵一杯(約70°)を取り、探照灯を左舷側のA船に向けて照射したが、21時38分ごろ、紀伊日ノ御埼灯台から224°2.9M付近において、B船の左舷船首部とA船の右舷船尾部とが衝突した。
 船長Bは、本事故の発生を海上保安庁に118番通報した。
原因  本事故は、夜間、日ノ御埼南西方沖において、A船がB船の左舷側を追い越す態勢で南南東進中、B船が南東進中、航海士Aが、右転を続けて右舷前方のB船に接近し、また、船長Bが、右舷船首方から接近するC船に注意を向けて航行していたため、両船が衝突したことにより発生したものと考えられる。
死傷者数 なし
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。