JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2012-8
発生年月日 2011年01月30日
事故等種類 乗揚
事故等名 ばら積貨物船KEY EVOLUTION乗揚
発生場所 熊本県苓北町所在の九州電力苓北発電所北方沖  九州電力苓北発電所専用港灯標から真方位335°1,450m付近
管轄部署 長崎事務所
人の死傷
船舶種類 貨物船
総トン数 30000t以上
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2012年08月31日
概要  本船は、船長ほか20人(フィリピン共和国籍)が乗り組み、水先類似行為者を乗せ、石炭約70,704tを積載し、船首尾とも約13.00mの喫水で平成23年1月30日11時10分ごろ九州電力苓北発電所専用港(以下「苓北発電所港」という。)に向かった。
 本船は、船長、水先類似行為者、三等航海士及び甲板手の4人が在橋し、船長の操船指揮のもと、水先類似行為者が操舵号令などをかけて操船を行い、三等航海士が船長補佐に、甲板手が手動操舵にそれぞれ就き、また、船首甲板に一等航海士などが、船尾甲板に二等航海士などが入港配置に就いていた。
 水先類似行為者は、操船補助のためのタグボート2隻のタグラインを本船の左舷船尾及び左舷船首に順次取りながら、ほぼ北北西~南南東方に設置された緑、赤色の港内入口灯浮標(以下「入口灯浮標」という。)間に向けて約8ノット(kn)の対地速力で東進中、入口灯浮標手前付近で雪が強く降るようになったので、視界悪化を考慮して機関を停止し、3隻目のタグボートのタグラインを右舷船首に取り終えた。
 水先類似行為者は、入口灯浮標間を通過後に右転する予定針路で航行していたが、11時30分ごろ、入口灯浮標間を通過中、突然、猛吹雪となって苓北発電所港の防波堤や施設が視界から完全に消えてしまったことから、まだ見えている左方向に針路を取った方が良いと船長に助言するとともに、タグボート、岸壁の関係者にも左転する旨を連絡したのち、左舵一杯、機関を極微速力前進、微速力前進とした。
 苓北発電所港の方向を見ながら左転していた水先類似行為者は、11時35分ごろ、船首が約020°(真方位、以下同じ。)を向き、北側の入口灯浮標から約700m離れたところで右舷前方の浅瀬(以下「魚礁設置区域」という。)を避けることができないと思って機関を順次、停止、半速力後進、全速力後進とするとともに、船尾のタグボートに全速力後進で引かせ、間もなくして前進行きあしが止まったと判断し、機関とタグボートの引き方を停止した。
 船長は、海図プロッター上で本船が北東~北方に向けて魚礁設置区域に徐々に接近するとともに、音響測深機の示度が徐々に浅くなっていたので、水先類似行為者に魚礁設置区域に接近していることを知らせた。
 水先類似行為者は、船長からの知らせを受けて海図プロッター及びレーダーにより、苓北発電所港汎用岸壁灯台の方位を160°より小さいと見たので、魚礁設置区域が船橋から約400m、船首から約200mにあると判断し、視界も回復してきており、この場所でタグボートを使用すれば、十分に右回頭できると思い、左船首のタグボートに全速力前進で押させ、右船首のタグボートに全速力後進で引かせて回頭を開始した。
 船長は、水先類似行為者に魚礁設置区域に接近していることを知らせた後も、本船が北東方に向かっていることを心配したが、直接的な操船に関する指示を出さなかった。
 水先類似行為者は、その後、船位と前進行きあしを確認しなかったので、ほぼ同じ場所で回頭していると思っていたが、本船は、右舷船首方にあった魚礁設置区域の西側角付近の水深11.5m(海図記載値)の場所に接近していた。
 本船は、ゆっくり前進しながら右回頭し、11時38分ごろ魚礁設置区域に船首部が進入し、同区域の西側角付近の魚礁に乗り揚げたが、誰も衝撃を感じなかったことから乗り揚げたことに気付かず、船首部船底を接触させたまま右回頭を続け、船首が約160°を向いた頃、視界が回復したので港内に向けて航行を続け、12時55分ごろ着岸作業を終了した。
 本船は、船長が、翌日、念のため、陸上関係者と共にフォアピークタンク内の検査を行ったところ、同タンク内に凹損が発見されたので、さらに、ダイバーによる外板船底検査を実施し、広範囲にわたり、複数の凹損と擦過傷が発見された。
 その後、水先類似行為者には、事故のあったことが知らされた。
原因  本事故は、本船が、苓北発電所港に向けて入航中、水先類似行為者が、吹雪で視界不良となったので予定針路を外して入航を中断したものの、視界が回復し、再び入航しようとして右回頭していた際、船位と前進行きあしを確認しなかったため、水深の浅い魚礁設置区域内に進入し、魚礁に乗り揚げたことにより発生したものと考えられる。
死傷者数 なし
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。