JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2011-7
発生年月日 2010年12月12日
事故等種類 乗揚
事故等名 漁船天洋丸乗揚
発生場所 愛媛県宇和島市大良(おおら)島南端付近 大良埼灯台から真方位078°440m付近
管轄部署 広島事務所
人の死傷 負傷
船舶種類 漁船
総トン数 5t未満
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2011年07月29日
概要  本船は、船長が1人で乗り組み、平成22年12月12日06時00分ごろ、宇和島市法花津湾南西部の水深約70mの海域において底びき網漁を始めた。
 本船は、船尾甲板にあるロープリールから長さ約350~400mのワイヤ製の引き索を両舷から出して長さ約40mの網を引き、網口を広げるため、本船の長さを超える長さ約26m、径約17~18cmのFRP製の張竿の両端を固縛ロープで網口に固定しており、張竿は、揚網時には船尾右舷端に立てた右舷側ガイド(鋼製棒)を通し、右舷側ブルワークの内側に沿って船首尾線方向に格納されていた。
 船長は、約3時間えい網したのちに揚網に取り掛かり、両舷の引き索の巻込みを行い、張竿が船尾に近づいた頃に船首を東方に向け、網が推進器に絡まないようにするため、極低速力として左舵を少しとり、前進しながら左旋回していた。
 船長は、船尾甲板に設置されたロープリールの左舷側にある操作レバーにより右舷側のワイヤの巻込みを止め、左舷側のワイヤのみの巻込みを続け、張竿の左側端が船尾甲板に上がってきたところで、張竿の左舷端に網口を取り付けるための径約20mm、長さ約5~6mの固縛用ロープ(以下「本件ロープ」という。)の一端を解いて網を外し、本件ロープを船尾甲板上に置いた。
 船長は、網が外された張竿の左舷端を本船の船尾右舷側ブルワークに立てた2本のガイド棒の間に通したのち、右舷側のワイヤのみの巻込みを始めたところ、船尾甲板上に置いていた本件ロープが同甲板上に立っていた船長の右足に絡んだ。
 船長は、本件ロープが右足に絡んだ際、ロープリールの左舷側にある操作レバーを操作して停止することができず、右舷側のワイヤの巻込みが続き、本件ロープの他端が張竿の左舷端に固定されていたことから、張竿がワイヤの巻込みとともに右舷側の通路に沿って船首方向に押し上げられる状態で移動した。
 船長は、張竿の左舷端が船首方向に移動するのに合わせ、絡んだ本件ロープに引かれて右舷側の通路を船首方向へ移動しながら本件ロープを外そうとしたが、外すことができず、09時30分ごろ、本件ロープに引かれて本船の右舷船首部から落水した。
 無人となった本船は、東進しながら左に旋回し、11時00分ごろ、法花津湾南東部の大良島南端付近に乗り揚げた。
 船長は、落水時に絡んでいた本件ロープが右足から外れたものの、右舷側の防舷材につかまっていたとき、本船が極低速力で航行していたことから水圧を受けて合羽及びジャージの下衣が脱げ、さらに、身体に受ける水圧に耐え切られなくなり防舷材から手を放した。
 船長は、ジャージの上衣、ゴム手袋及び長靴を脱いで下着だけの状態となり、泳ぎながら周囲を見渡したところ、宇和島市嘉島(距離約2.2海里(M))、大小島(距離約2.2M)、その付近の陸地(約2.0M)及び大良埼(約3.1M)方面の陸地が見え、嘉島が最も近くに見えたので嘉島に向かって泳ぎ始めたが、嘉島に近づかなったことから、大小島に方向を変えて泳ぎ続けた。 
 付近で操業中の僚船は、本船が乗り揚げたことに気付いて海上保安部に通報し、本船が無人であったことから、巡視艇2隻、ヘリコプター1機及び僚船約30隻により船長の捜索が行われ、13時10分ごろ、僚船が、船長の落水場所から真方位212°900m付近で船長を発見して救助した。
原因  本事故は、本船が、大良埼西方の法花津湾において、前進しながら揚網作業中、船長が、本件ロープの一端を解いて張竿を本船の右舷側に格納する際、本件ロープが船長の右足に絡んだため、本件ロープに引かれて落水し、無人で航行して大良島南端付近に乗り揚げたことにより発生したものと考えられる。
死傷者数 負傷:1人(船長)
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。