JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2010-1
発生年月日 2008年11月25日
事故等種類 死傷等
事故等名 漁船第七十八福壽丸乗組員死亡
発生場所 南太平洋
管轄部署 横浜事務所
人の死傷 死亡
船舶種類 漁船
総トン数 200~500t未満
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2010年01月29日
概要  本船は、船長、通信長及び甲板員Aほか22人が乗り組み、平成20年5月13日から南太平洋の漁場でまぐろ延縄漁に従事していた。
 平成20年11月25日10時30分ごろ、本船は約4~5ノットの速力で揚縄作業を開始した。
 14時ごろ、甲板員A及び通信長は、両手に軍手をはめ、プラスチック製の籠に入った砕けた氷やばらけた餌等(約20kg)のごみを海中に投棄するため、その籠を前部甲板の右舷側にある舷門付近に運んだ。
 通信長は、甲板員Aが籠の取っ手に取り付けたロープを右手に2回ほど巻き付けていることを知ったが、籠を海中に落とさないために巻き付けているものと思った。
 通信長は、開放した舷門の船首側に立ち、舷側の外で籠を逆さまにし、籠の中のごみを海中に投棄するつもりであったが、作業方法を甲板員Aと打ち合わせないまま、舷門の船尾側に立った甲板員Aと声を掛け合って籠を持ち上げたところ、甲板員Aがそのまま籠を舷外に放ったため、籠から手を放した。
 甲板員Aは、平成20年11月25日14時05分ごろ、落下するごみの入った籠とともに海中に転落した。
 通信長は、走って船尾に移動し、他の乗組員とともに浮き玉、ラジオブイなどを投下した。
 甲板上にいた船長は、急いで船橋に戻り、甲板員Aが回転するプロペラに巻き込まれるのを防ぐため、主機のクラッチを中立状態とし、甲板員Aの安全を確認した後、機関を前進にかけて救助に備えた。
 甲板員Aは、投下した浮き玉の近くで浮き沈みしているのを目撃されていたが、間もなく海中に沈んで行方不明となった。
 本船は、翌日合流した僚船1隻とともに甲板員Aの捜索を6日間続けたが発見することができなかった。
 2009年5月29日、甲板員Aの死亡証明書が出身地の住民・戸籍登録所長名で発行された。
原因  本事故は、本船が南太平洋において操業中、作業の安全に関する教育が十分でなかったため、甲板員Aが開放した舷門から籠に入れたごみを海中に投棄した際、転落したことにより発生した可能性があると考えられる。
 作業の安全に関する教育が十分でなかったのは、ごみの海中投棄が危険作業であるという認識をもっていなかったことによる可能性があると考えられる。
 甲板員Aが転落したのは、枝縄用籠をごみ用籠と思い込み、籠付きロープを手に巻き付けたまま開放した舷門から籠を放り、落下するごみの入った籠に引っ張られて身体のバランスを崩したことによる可能性があると考えられる。
 甲板員Aが行方不明になったのは、救命胴衣を着用していなかったことによる可能性があると考えられる。
死傷者数 死亡:甲板員
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。