JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2024-9
発生年月日 2023年08月16日
事故等種類 転覆
事故等名 ダイビング船クリスタルM転覆
発生場所 沖縄県宮古島市下地島北西方沖 佐良浜港第1防波堤南灯台から真方位281°5.5海里付近
管轄部署 事務局
人の死傷
船舶種類 旅客船
総トン数 5t未満
報告書(PDF) 公表説明資料
公表年月日 2024年09月26日
概要  ダイビング船クリスタルMは、船長が1人で乗り組み、ダイビング客12人及びインストラクター7人を乗せ、下地島北西方沖を航行中、浸水して転覆した。
 クリスタルMは、機関室の濡損等を生じた。
原因  本事故は、下地島北西方沖において、本船が、乗客のダイビング中に、風向きが南西方から北西方に変化し、激しい風雨及び高波が発生した状況下、オープントランサム型の船尾部を北西方に向けて船尾から錨を入れた状態で錨泊を続けたため、船尾から上甲板に波が打ち込み、海水等が船尾収納庫等から機関室内に流れ込んだことで乾舷が減少し、更に乗客を乗せて、排水ができないまま波高約2mの波を受ける中、船尾下降を伴う航行を続けたため、波の打ち込みにより浸水が進み、船尾部上甲板が水没し、主機が停止して操縦不能となり、転覆したものと考えられる。
 船尾から波が打ち込んだのは、船尾部の仕切り板が取り外されていたことに加え、重量のある潜水器材を積載していたことで、船尾の乾舷が減少していたことによるものと考えられる。また、船尾収納庫等に浸入した海水等が機関室内に流れ込んだのは、本船が油圧配管の修理後に本船開口部及び本船貫通部を塞がずに開いたままの状態としていたことによるものと推定される。
 本船が、船尾部を風波が来る方向と同じ北西方に向けて錨泊を続けたのは、本船船長が、上甲板上に入った水は船内に滞留することなく船外に排出されるので、波が打ち込んでも支障ないと認識していたことによるものと考えられる。
 本船船長が、最新の気象・海象情報や雲の発生状況等から悪天候を早期に察知し、気象・海象が悪化する前に避難するなどの判断ができなかったことは、本事故の発生に関与した可能性があると考えられる。
死傷者数 なし
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考 関係団体等への周知協力依頼
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。