
| 報告書番号 | MA2021-12 |
|---|---|
| 発生年月日 | 2020年01月24日 |
| 事故等種類 | 死傷等 |
| 事故等名 | 貨物船雄正丸作業員負傷 |
| 発生場所 | 山口県徳山下松港第1区の晴海5号岸壁 徳山下松港地ノ筏灯台から真方位147°880m付近 |
| 管轄部署 | 広島事務所 |
| 人の死傷 | 負傷 |
| 船舶種類 | 貨物船 |
| 総トン数 | 200~500t未満 |
| 報告書(PDF) | 公表 |
| 公表年月日 | 2021年12月16日 |
| 概要 | 貨物船雄正丸は、船長ほか5人が乗り組み、徳山下松港第1区の晴海5号岸壁に着岸中、雄正丸に搭載していたばら積みオイルコークスを同岸壁にあるダブルリンク型移動式クレーンで荷揚げを行っていたところ、令和2年1月24日14時34分ごろ同クレーンのグラブバケットが右舷中央部の手すりに当たった後、荷揚げ作業の合図をしていた作業員の頭部に当たり、同作業員が負傷した。 |
| 原因 | 本事故は、本船が、本件岸壁において、オイルコークスの揚げ荷役作業中、作業指揮及び安全確保に関する指導等に専従する者が配置されていない中、合図者が本船右舷上甲板通路の中央部に立ち、また、クレーン運転員Aが、クラブバケットをホッパーから本船上方に移動させる目的で、ジブ操作レバーでジブを押し出しながら本件操作レバーによりグラブバケットを降下させた際、少し振れていたグラブバケットを止めようとその振れを注視して両方の操作レバーの同時操作を続けたため、グラブバケットが、右舷上甲板通路の方に接近し、本船右舷中央部の手すりに当たるとともに、合図者の頭部に当たったことにより発生したものと考えられる。 クレーン運転員Aは、ジブ操作レバーの操作によりジブを押し出しながら、本件操作レバーの操作によりグラブバケットを降下させたことから、グラブバケット下端などの見通し線が上甲板右舷端に対して、視覚上ほとんど変化のない状況になり、右舷上甲板通路の方に接近していることを明確に認識できなかった可能性があると考えられる。 クレーン運転員Aが、ホッパーにオイルコークスを投下後、ジブ操作レバーでジブを押し出しながら、同時に本件操作レバーによりグラブバケットを降下させ始めたのは、船倉内のオイルコークスが少なくなってグラブバケットで荷揚げできる量が少なくなり、ホッパー下のトラックの運転者を待たせることに焦りを感じ、少しでも早く荷揚げをしようと思ったことによるものと考えられる。 合図者は、本件クレーンで作業を行うのは初めてであり、立ち位置や立ち入り禁止区域等について具体的な知識がなかったことから、他の合図者に倣って右舷上甲板通路の中央部で作業を行っていたものと考えられる。 C社において、本件クレーンによる揚荷役作業時の危険区域の通行制限及び立ち入り禁止について、本件作業基準書等に明記されておらず、また、部門教育及び事前のミーティングにおいて具体的に指導されていなかったことが、合図者の立ち位置に関与した可能性があると考えられる。 合図者は、本事故時、グラブバケットが右舷上甲板通路まで来ることはないと思い、その動線上で構造的に退避などの行動に制約を受ける場所に立ち、また、グラブバケットが、水平移動のみの行程を経ずに接近して来たことから、危険を感じたものの、クレーン運転員Aに降下位置の是正などの指示を行うことも、退避することもできず、負傷したものと考えられる。 クレーン運転員Aは、荷役責任者が不在の中、本件クレーンの運転を1時間で交代する予定であったものの、これまで経験したことのない1時間30分を超える連続した作業になったことから、注意力が低下した状態であったものと考えられる。 本事故当時、作業の指揮及び安全確保に関する指導等に専従する者が配置されていなかったことが、合図者の立ち位置及びクレーン運転員Aの運転時間の超過が是正されなかったことに関与した可能性があると考えられ、本件クレーンによる揚荷役作業は、法令で作業主任者を配置することが適用されないもののその適用を受ける作業と同等の危険性を有しているものと考えられる。 |
| 死傷者数 | 負傷:本件作業員 |
| 勧告・意見 | |
| 情報提供 | |
| 動画(MP4) | |
| 備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。