JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2022-8
発生年月日 2020年09月06日
事故等種類 死傷等
事故等名 プレジャーボート剛健Ⅲ被引浮体搭乗待機者死傷(猪苗代湖)
発生場所 福島県会津若松市中田浜沖(猪苗代湖) 共和三等三角点から真方位128°760m付近
管轄部署 事務局
人の死傷 死亡:負傷
船舶種類 プレジャーボート
総トン数 5~20t未満
報告書(PDF) 公表説明資料
公表年月日 2022年08月25日
概要  プレジャーボート剛健Ⅲは、船長が1人で乗り組み、友人ら同乗者9人を乗せ、福島県会津若松市の猪苗代湖中田浜西岸沖に敷設された小型船舶教習用ブイ付近を北東進中、また、水上オートバイがえい航する被引浮体に搭乗する順番を待っていた搭乗待機者4人は、小型船舶教習用ブイ付近で浮遊中、令和2年9月6日(日)10時58分ごろ、剛健Ⅲが浮遊状態の搭乗待機者らに衝突し、推進器等が接触した。
 搭乗待機者4人のうち、1人が死亡し、2人が負傷した。
原因  本事故は、中田浜がプレジャーボート等で大変混雑し、各々の速力で航行し、遊走する状況下、同浜西岸沖に設定された保全誘導ゾーンにおいて、剛健Ⅲが北東進して同浜西岸沖に敷設された小型船舶教習用ブイ2列の東側の列の南端にあった色あせた薄赤色のブイ付近の搭乗待機者らに向かって接近し、また、D船がえい航する被引浮体の搭乗待機者4人が本件ブイ付近で搭乗する順番を待って浮遊状態であったため、剛健Ⅲの船長が本件ブイ付近にいた搭乗待機者らに気付かずに剛健Ⅲを衝突させ、推進器等が搭乗待機者らに接触したことにより発生したものと考えられる。
 剛健Ⅲが北東進して本件ブイ付近の搭乗待機者らに向かって接近したのは、剛健Ⅲは、漂泊状態から東北東進したとき、右舷船首方にいた剛健Ⅲ船長の友人のプレジャーボートが湖心に向けて材木山左端に向首するよう左転し、剛健Ⅲ船首の前方に寄ってきたことから、剛健Ⅲの船長が、B船を避けてその左舷側を追い越す目的で、増速し、材木山を見ながら左舵を取ってB船よりも西寄りに針路をとったことによるものと考えられる。
 剛健Ⅲの船長が本件ブイ付近にいた搭乗待機者らに気付かなかったのは、剛健Ⅲの船長は、これまでの経験から中田浜西岸沖に人が本件ブイ列付近で浮遊しているとは思いもよらず、本件ブイの方を目視で確認しなかったこと、また、複数の水上オートバイが同浜西岸沖で遊走して航走波を発生させていた状況及びB船が左転してきた動きに意識を向けていたこと、さらに、B船を追い越す目的で剛健Ⅲを増速したとき、船首方の見通しが悪くなって死角が広がったことによるものと考えられる。
 搭乗待機者4人が本件ブイ付近で浮遊状態であったのは、D船の船長及びその友人である水上オートバイの船長が、プレジャーボート等が遊走等して混雑した中田浜東岸沖及び船舶航行区域を避け、同浜西岸沖が猪苗代湖利用区分マップで水上オートバイの操縦等が可能であると考えて移動してきたこと、また、同浜西岸沖では、着桟中のプレジャーボート等の出航準備及び動向を見れば航行してくることがすぐに分かり、周囲には水上オートバイグループのみが、安全な速力で遊走や漂泊をしており、プレジャーボート等が航行してきても自分達の存在に気付くと思ったことなどから、本件ブイ列付近で被引浮体をえい航して水上オートバイを遊走させようと思ったことによるものと考えられる。
 中田浜西岸沖に設定された保全誘導ゾーンにおいて、剛健Ⅲ、D船及び搭乗待機者らが水面利用活動を行っていたのは、会津若松ゾーニング計画における中田浜のゾーニング、利用ルール等が、水面利用者及び水面利用事業者に対し、十分に周知徹底されていなかったことから、水面利用者が、ゾーニング、利用ルール等を正確に認知しておらず、プレジャーボート、水上オートバイ、被引浮体のえい航等が混在して、ゾーニング等とは関係なく、湖岸から150m以内の水域を各々の速力で航行し、遊走する状況があったものと考えられる。
死傷者数 死亡:搭乗待機者、負傷:搭乗待機者2人
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。