
| 報告書番号 | MA2019-12 |
|---|---|
| 発生年月日 | 2018年11月21日 |
| 事故等種類 | 乗揚 |
| 事故等名 | 油タンカーしんみち丸乗揚 作業船(ゴムボート)(船名なし)転覆 警戒船(ゴムボート)(船名なし)転覆 |
| 発生場所 | (1件目)東京都小笠原村硫黄島西方沖硫黄島飛行場灯台から真方位274°1.9海里付近 (2件目)東京都小笠原村硫黄島西方沖硫黄島飛行場灯台から真方位272°1.9海里付近 (3件目)東京都小笠原村硫黄島西方沖硫黄島飛行場灯台から真方位260°1.8海里付近 |
| 管轄部署 | 横浜事務所 |
| 人の死傷 | |
| 船舶種類 | タンカー:作業船:その他 |
| 総トン数 | 3000~5000t未満:5t未満:5t未満 |
| 報告書(PDF) | 公表 |
| 公表年月日 | 2019年12月19日 |
| 概要 | (1件目の事故) 油タンカーしんみち丸は、船長ほか10人が乗り組み、東京都小笠原村硫黄島西方沖において、ブイ係留作業中、平成30年11月21日07時55分ごろ浅所に乗り揚げた。 しんみち丸は、船底外板にペイント剝離を生じたが、死傷者はいなかった。 (2件目の事故) 作業船(ゴムボート、船名なし)は、船長ほか作業員5人が乗り組み、東京都小笠原村硫黄島西方沖において、乗り揚げた油タンカーしんみち丸のブイ係留の支援作業中、平成30年11月21日10時56分ごろ転覆した。 作業船(船名なし)は、作業員1人が死亡し、船外機に濡損を生じた。 (3件目の事故) 警戒船(ゴムボート、船名なし)は、艇指揮及び艇長ほか2人が乗り組み、東京都小笠原村硫黄島西方沖において、作業船(船名なし)が行うブイ係留支援作業の警戒業務中、平成30年11月21日11時30分ごろ転覆した。 警戒船(船名なし)は、船外機に濡損を生じたが、死傷者はいなかった。 |
| 原因 | (1件目の事故) 本事故は、硫黄島西方沖において、英和運輸株式会社及び上野トランステック株式会社により、喫水に対応する‘4基の係留ブイに囲まれた海域内の中央より東北東側’(本件海域)の余裕水深が確保されていない状態でしんみち丸が配船され、しんみち丸のブイ係留作業に関する運航中止基準が定められていない中、しんみち丸が、西方から波高約2mのうねりが発生している状況下で同作業を行ったため、うねりにより係留ブイに繋ぎ止めた船尾係船索が走出し、本件海域の浅所に向かって圧流されて乗り揚げたものと考えられる。 しんみち丸が英和運輸株式会社及び上野トランステック株式会社により喫水に対応する本件海域の余裕水深が確保されていない状態で配船されたのは、英和運輸株式会社及び上野トランステック株式会社がブイ係留作業に関する安全性の検討を行わずにしんみち丸のブイ係留作業をしんみち丸の船長に委ねていたことによるものと考えられる。 しんみち丸が、英和運輸株式会社及び上野トランステック株式会社によりしんみち丸のブイ係留作業に関する運航中止基準が定められていない中、西方から波高約2mのうねりが発生している状況下で同作業を行ったのは、しんみち丸の船長が、右舷錨及び右舷船尾の係船索を併用することで、うねりによるしんみち丸の本件海域への圧流を防ぐことができると思っていたこと、及びブイ係留作業実施決定の連絡を受け、作業船(船名なし)が支障なくしんみち丸のブイ係留支援作業(本件支援作業)を行うことができると思っていたことによるものと考えられる。 英和運輸株式会社及び上野トランステック株式会社がブイ係留作業に関する運航中止基準を定めていなかったこと、しんみち丸船長、作業管理者、作業船船長及び現場指揮官間でブイ係留作業等の実施の可否決定に関する協議が適切に行われずにブイ係留作業が実施されたこと、並びにしんみち丸船長が予定された貨物量を減じて本件海域の余裕水深を確保するよう上野トランステック株式会社に進言することができなかったことは、本事故の発生に関与したものと考えられる。 (2件目の事故) 本事故は、硫黄島西方沖において、上野マリン・サービス株式会社により本件支援作業に関する運航中止基準が定められていない中、作業船(船名なし)が、波高約 2~3mの磯波が発生している状況下で本件支援作業を行ったため、本件支援作業中に左舷船尾方から波浪を受け、右舷側に傾斜して転覆したものと考えられる。 作業船(船名なし)が、上野マリン・サービス株式会社により本件支援作業に関する運航中止基準が定められていない中、波高約2~3mの磯波が発生している状況下で本件支援作業を行ったのは、次のことによるものと考えられる。 (1) 作業管理者及び作業船船長が、海上自衛隊が本件支援作業の実施の可否決定を行うという認識がある中で、本件支援作業の業務委託を受けている立場で中止を主張し難いという思いがあったこと、及び横転するおそれがある切迫した状況のしんみち丸からの本件支援作業の実施依頼を拒むことができなかったこと。 (2) 現場指揮官が、請負契約上の本件支援作業実施の可否決定権者である作業管理者から中止する旨の発言がなかったこと及び本件支援作業を行うことによりしんみち丸が横転するおそれがある切迫した状況を脱することを期待していたことから、本件支援作業の中止を要請するに至らなかったこと。 上野マリン・サービス株式会社が本件支援作業に関する運航中止基準を定めていなかったこと、及び本件支援作業の実施の可否決定を行う権限の所在が明確にされておらず、しんみち丸船長、作業管理者、作業船船長及び現場指揮官間でブイ係留作業等の実施の可否決定に関する協議が適切に行われずに本件支援作業が実施されたことは、本事故の発生に関与したものと考えられる。 (3件目の事故) 本事故は、硫黄島西方沖において、警戒船(船名なし)が、波高約2~3mの磯波が発生している状況下で本件支援作業の警戒業務を行ったため、同業務中に船尾方から波浪を受けてバッテリーに濡損を生じ、船外機が停止して航行不能となり、漂流したのちに右舷方から波浪を受け、左舷側に傾斜して転覆したものと考えられる。 警戒船(船名なし)が波高約2~3mの磯波が発生している状況下で本件支援作業の警戒業務を行ったのは、現場指揮官が、本件支援作業を行うことによりしんみち丸が横転するおそれがある切迫した状況を脱することを期待し、本件支援作業の中止を要請するに至らなかったことによるものと考えられる。 しんみち丸船長、作業管理者、作業船船長及び現場指揮官間でブイ係留作業等の実施の可否決定に関する協議が適切に行われずに本件支援作業の警戒業務が実施されたことは、本事故の発生に関与したものと考えられる。 |
| 死傷者数 | 死亡:作業員(作業船(船名なし)) |
| 勧告・意見 | |
| 情報提供 | |
| 動画(MP4) | |
| 備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。