報告書番号 | MA2021-12 |
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発生年月日 | 2019年05月26日 |
事故等種類 | 衝突 |
事故等名 | 貨物船千勝丸貨物船すみほう丸衝突 |
発生場所 | 千葉県銚子市犬吠埼南方沖 犬吠埼灯台から真方位193°4.6海里付近 |
管轄部署 | 事務局 |
人の死傷 | 死亡 |
船舶種類 | 貨物船:貨物船 |
総トン数 | 200~500t未満:200~500t未満 |
報告書(PDF) | 公表/説明資料 |
公表年月日 | 2021年12月16日 |
概要 | 貨物船千勝丸は、船長ほか4人が乗り組み、濃霧により視界が制限された千葉県銚子市犬吠埼南方沖において、阪神港に向けて南西進中、貨物船すみほう丸は、船長ほか3人が乗り組み、宮城県仙台塩釜港に向けて北東進中、令和元年5月26日02時09分ごろ両船が衝突した。 千勝丸は、沈没し、船長が救助されたが、乗組員4人が死亡し、また、すみほう丸は、左舷船首部外板の凹損等を生じたが、死傷者はいなかった |
原因 | 本事故は、夜間、濃霧による視界制限状態の犬吠埼南方沖において、千勝丸が南西進中、すみほう丸が北東進中、両船が真向かいに接近する状況下、千勝丸が、すみほう丸と約1,600mまで近づいた際、左舷対左舷で航過する目的で速力を維持したまま右転し、また、すみほう丸が、千勝丸と約2海里まで近づいた際、右舷対右舷で航過する目的で針路をわずかに左へ転じ、その針路と速力を維持したまま目視で航行したため、互いに接近していることに気付くのが遅れ、両船が衝突したものと考えられる。 千勝丸が、すみほう丸と左舷対左舷で航過する目的で速力を維持したまま右転したのは、千勝丸の当直航海士が、視界制限状態における船舶の航法により右転した可能性があると考えられるが、千勝丸の当直航海士が死亡していることから、その意図を明らかにすることはできなかった。 すみほう丸が、千勝丸と右舷対右舷で航過する目的で針路をわずかに左へ転じ、その針路と速力を維持したまま目視で航行したのは、すみほう丸の当直航海士が、千勝丸がレーダー映像で船首輝線の少し右寄りで南西進していたことから、針路を左へ2°転じたことで最接近距離が拡大して安心したことによるものと考えられる。 千勝丸の当直航海士及びすみほう丸の当直航海士が、視界制限状態で互いに真向かいに接近する状況下において、レーダー画面で互いの動きを確認するとともに、音響信号を使用したり、早期にVHFによる交信を行ったりしていたならば、互いの動きや操船意図を確認でき、減速するなどの衝突を避けるための措置を採ることができた可能性があると考えられる。 千勝丸の当直航海士及びすみほう丸の当直航海士が、視界制限状態において、共に大幅に針路の変更を行っていたならば、互いの操船意図に気付くことができ、事故発生の回避に繋がった可能性があると考えられる。 各船長が、当直航海士から視界制限状態の状況を共に知らされ、安全管理規程及び運航基準に従って当直体制を強化していたならば、互いの動きや操船意図を確認し、減速するなどの衝突を避けるための措置を採ることができ、事故発生の回避に繋がった可能性があると考えられる |
死傷者数 | 死亡:乗組員4人(貨物船千勝丸) |
勧告・意見 | 勧告 |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。