報告書番号 | MA2018-12 |
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発生年月日 | 2017年07月26日 |
事故等種類 | 衝突(単) |
事故等名 | 旅客船そら衝突(進入灯台) |
発生場所 | 阪神港神戸第6区 神戸空港東進入灯台 |
管轄部署 | 事務局 |
人の死傷 | 負傷 |
船舶種類 | 旅客船 |
総トン数 | 20~100t未満 |
報告書(PDF) | 公表/説明資料 |
公表年月日 | 2018年12月20日 |
概要 | 旅客船そらは、船長及び機関長が乗り組み、旅客29人を乗せ、泉州港の海上アクセス基地を出発し、阪神港神戸第5区の神戸空港海上アクセスターミナルにある桟橋へ向けて北進中、平成29年7月26日21時29分ごろ阪神港神戸第6区の神戸空港東進入灯台に衝突した。 そらは、旅客4人が重傷を、旅客21人及び乗組員2人が軽傷を負い、左舷側船体船首部に圧壊等を生じた。また、神戸空港東進入灯台は、脚部の擦過傷等を生じた。 |
原因 | 本事故は、夜間、神戸空港東進入灯台E2施設灯の灯光が背後にあるポートアイランドのコンテナターミナルの照明灯の灯光によって見えにくい状況下、旅客船そらが、阪神港神戸第5区にある神戸空港海上アクセスターミナルの桟橋に向けて阪神港神戸区を北進中、船長が操舵スタンドの左舷側に設置されたレーダー及びレーダー画像を重畳したGPSプロッターを使用せず、目視のみで見張りを行っていたため、神戸空港東進入灯台に向かって航行していることに気付かず、同灯台に衝突したものと考えられる。 船長が操舵スタンドの左舷側に設置されたレーダー及びレーダー画像を重畳したGPSプロッターを使用せず、目視のみで見張りを行っていたのは、船長が機関長と雑談を続けていたこと、並びにこれまで神戸空港東進入灯台に接近すれば、同灯台E2施設灯の灯光を視認できていたことによるものと考えられる。 船長が、機関長に操舵を任せてスマートフォンを操作し、機関長と雑談を続けて操舵スタンドの左舷側に設置されたレーダー及びレーダー画像を重畳したGPSプロッターを使用せずに目視のみで見張りを行っていたこと、基準航路に戻す意識が希薄になり、レーダー画像を重畳したGPSプロッターに基準航路を表示せず基準航路の西側を航行したこと、及び機関長が、同灯台E2施設灯の情報を共有せず、船長に操舵を交替したのち、機関日誌の記載事項の確認を行い、船首方の見張りを行っていな かったことは、そらの操舵室内の規律が守られていなかったものと考えられ、本事故の発生に関与したものと考えられる。 そらにおいて、操舵室内の規律が守られていなかったのは、株式会社OMこうべが、安全管理規程により定めることが義務付けられた通常航海当直配置の具体的な内容を明示して周知していなかったこと、並びに操舵スタンドの左舷側に設置されたレー ダー及びレーダー画像を重畳したGPSプロッターを使用した適切な見張りを行うこと、乗組員で情報を共有すること、及び可能な限り基準航路を航行することの重要性についての安全教育及び訓練が十分行われていなかったことから、株式会社OMこうべの安全管理が有効に機能していなかったことによるものと考えられ、本事故の発生に関与したものと考えられる。 旅客に重傷者を含む多数の負傷者が生じたことについては、多くの旅客がシートベルトを着用していなかったことによるものと考えられる。 また、旅客が船首方に投げ出された際、前方の椅子に当たって椅子が床から外れて倒れたことは被害の拡大に関与した可能性があると考えられる。 |
死傷者数 | 負傷:船長、機関長及び旅客25人 |
勧告・意見 | 勧告 |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。