報告書番号 | MA2017-11 |
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発生年月日 | 2017年01月30日 |
事故等種類 | 転覆 |
事故等名 | 貨物船SWIFTNES作業船ふじ丸転覆 |
発生場所 | 北海道苫小牧市苫小牧港第1区中央南ふ頭1号岸壁沖 苫小牧港西防波堤灯台から真方位052°2.6海里付近 |
管轄部署 | 事務局 |
人の死傷 | 死亡:負傷 |
船舶種類 | 貨物船:作業船 |
総トン数 | 10000~30000t未満:5~20t未満 |
報告書(PDF) | 公表 |
公表年月日 | 2017年11月30日 |
概要 | 作業船ふじ丸は、船長ほか作業員1人が乗り組み、北海道苫小牧市苫小牧港において、貨物船SWIFTNESの着岸の支援作業に従事中、平成29年1月30日07時28分ごろSWIFTNESの船尾部から取っていた係船索がSWIFTNESの推進器に絡み、07時29分ごろ同推進器に引き寄せられて転覆した。 ふじ丸は、船長が死亡するとともに作業員が第8肋骨骨折などの重傷を負い、船体は全損となった。 SWIFTNESは、推進器に損傷を生じた。 |
原因 | 本事故は、苫小牧港において、ふじ丸が、SWIFTNESの着岸の支援に当たり、スタンライン4本を苫小牧港中央南ふ頭1号岸壁にえい航していた際、SWIFTNESの主機が使用されたため、スタンライン4本がSWIFTNESの推進器に絡み、ふじ丸が同推進器に引き寄せられ、右舷側に傾斜して転覆したものと考えられる。 SWIFTNESの主機が使用されたのは、SWIFTNESの船長及び水先人が、スタンライン4本の状況について情報を共有していなかったこと及び主機を使用する前の推進器周辺の安全確認について、相互に行われることを期待し、推進器周辺の安全確認が行われなかったことによるものと考えられる。 SWIFTNESの船長及び水先人が、スタンライン4本の状況について情報を共有していなかったのは、水先人がSWIFTNESの船長に対して後部配置の着岸作業の進捗状況について報告を求めず、SWIFTNESの船長が水先人に対して後部配置の着岸作業の進捗状況を報告しなかったこと、並びにSWIFTNESの船長と航海士との間で安全管理マニュアルの実施が徹底されず、操船上の指示及び助言について、一時的にタガログ語が使用されたことによるものと考えられる。 SWIFTNESの船長及び水先人が、主機を使用する前の推進器周辺の安全確認について、相互に行われることを期待したのは、水先人が、主機の使用の助言に伴う推進器周辺の安全確認については、SWIFTNESの船長が行うものと判断していたこと、及びSWIFTNESの船長が、水先人が主機の使用に伴う推進器周辺の安全確認についても行った上で、スタンライン4本を送る助言をしたものと思い込んだことによるものと考えられる。 ふじ丸がスタンライン4本を苫小牧港中央南ふ頭1号岸壁にえい航していたのは、SWIFTNESの船長が水先人の操船方法にについて理解していなかったこと、ふじ丸の作業員が船尾係船索を繰り出すよう合図をしたこと及びSWIFTNESの船長がスタンライン4本を送る旨の助言を受けたと思ったことが関与したことによる可能性があると考えられる。 SWIFTNESの船長が水先人の操船方法について理解していなかったのは、パイロットインフォメーションカードに最初に岸壁に送る係船索及び係船索を送る方法が記載されていなかったこと、水先人が、出船左舷着け、ヘッドラインを4本、前部スプリングラインを2本、後部スプリングラインを2本及びスタンラインを4本の順番にとって係留する旨の助言を変更後、操船方法を説明していなかったことが関与したことによる可能性があると考えられる。 |
死傷者数 | 死亡:船長(ふじ丸)、負傷:作業員(ふじ丸) |
勧告・意見 | |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 | 関係団体等への周知協力依頼 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。