報告書番号 | MA2018-9 |
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発生年月日 | 2015年07月31日 |
事故等種類 | 火災 |
事故等名 | 旅客フェリーさんふらわあ だいせつ火災 |
発生場所 | 北海道苫小牧市苫小牧港南方沖 苫小牧港東外防波堤灯台から真方位177°47.7海里付近 |
管轄部署 | 事務局 |
人の死傷 | 死亡 |
船舶種類 | 旅客船 |
総トン数 | 10000~30000t未満 |
報告書(PDF) | 公表/説明資料 |
公表年月日 | 2018年09月27日 |
概要 | 旅客フェリー さんふらわあ だいせつは、船長ほか22人が乗り組み、旅客71人を乗せ、車両等160台を積載し、北海道苫小牧市苫小牧港に向けて茨城県大洗町大洗港を出港し、苫小牧港南方沖を北進中、平成27年7月31日17時10分ごろ第2甲板で火災が発生した。 さんふらわあ だいせつは、乗組員が消火作業を行ったものの延焼し、船長が18時35分ごろ総員退船を命じ、来援した旅客フェリー等により、旅客全員及び二等航海士を除く乗組員が救助された。 二等航海士は、行方不明となり、8月3日11時01分ごろ第2甲板で発見され、死亡が確認された。 さんふらわあ だいせつは、その後、北海道函館市函館港にえい航され、二酸化炭素ガス注入による消火作業が行われて8月10日14時53分ごろ鎮火が確認された。 さんふらわあ だいせつは、第2~4甲板の右舷中央部の甲板、外板等の船体構造物に焼損を、第2及び第3甲板に積載されていた車両等に焼損を生じた。 |
原因 | 本船舶事故は、さんふらわあ だいせつが、苫小牧港南方沖において苫小牧港に向けて北進中、第2甲板の右舷中央部に積載されたトラックの車載冷凍ユニットから出火し、乗組員による消火及び延焼防止が適確に行われなかったため、発生した可能性があると考えられる。 車載冷凍ユニットからの出火については、メーカーのサービスマニュアルにおいて禁じられている方法により結線した箇所から電気火災が発生した可能性があると考えられるが、出火の要因の特定には至らなかった。 火災発見時に乗組員が消火器による消火を適確に行えなかったのは、火元が車載冷凍ユニットのカバー内部であったことから、火元に効果的に消火剤を放射できなかったことによる可能性があると考えられる。 乗組員が消火ホースからの放水による消火及び延焼の拡大を防止できなかったのは、消防員装具を装着した上で組織的な消火作業が行われなかったこと、乗組員の固定式加圧水噴霧装置の使用方法についての理解が不足し、加圧水噴霧ポンプの能力を超えた5区画に噴霧させたこと、及び安全かつ適確な消火作業を行うために必要な空所が確保されていなかったことによる可能性があると考えられる。 乗組員による消火及び延焼防止が適確に行われなかったのは、商船三井フェリー(株)の乗組員に対する実践的な教育及び訓練が不足していたことによる可能性があると考えられる。 本件火災により二等航海士が死亡したのは、大きな危険を伴う火災現場において、所在が不明な甲板員を探すなどの職責を果たす際に、火災発生場所の風下に立ち入り、一酸化炭素を吸い込んだことによるものと考えられる。 商船三井フェリー(株)が火災発生時における有毒ガスの危険性に関する教育を行うことにより、二等航海士が有毒ガスの危険性をより強く認識できた可能性があると考えられる。 |
死傷者数 | 死亡:二等航海士 |
勧告・意見 | |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。