報告書番号 | MA2010-5 |
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発生年月日 | 2009年04月14日 |
事故等種類 | 転覆 |
事故等名 | 漁船第十一大栄丸転覆 |
発生場所 | 長崎県平戸市平戸島西方沖 生月大橋橋梁灯(C1灯)から真方位243°9.1海里付近 |
管轄部署 | 事務局 |
人の死傷 | 死亡:負傷:行方不明 |
船舶種類 | 漁船 |
総トン数 | 100~200t未満 |
報告書(PDF) | 公表 |
公表年月日 | 2010年05月28日 |
概要 | 漁船第十一大栄(だいえい)丸は、船長、漁ろう長ほか乗組員20人が乗り組み、長崎県平戸市平戸島西方沖を東シナ海の漁場に向けて航行中、平成21年4月14日08時05分ごろ転覆し、08時30分ごろ沈没した。 乗組員22人のうち、11人が死亡し、1人が行方不明になり、10人が救助されたが、発熱、肺炎等で全員入院した。 第十一大栄丸は、後日引き揚げられたが、全損となった。 |
原因 | 本事故は、本船が、平戸島西方沖において、右舷後方からの追い波の中を航行中、第1波に続いて第2波を受けた際、船体が波の頂に乗って復原力が減少したため、第2波を受けたときに打ち込んだ海水が上甲板右舷側に移動して滞留するとともに、積載した網が移動して右舷側への大傾斜が生じ、傾斜を復原しようと右旋回を続けて傾斜が増大して右舷ブルワーク上端が没水し、復原することができずに転覆したことにより、発生したものと考えられる。 本船が第2波の頂に乗って復原力が減少したのは、船長及び漁ろう長が、大きく減速するなどの操船を確実に行わなかったことが関与したことによる可能性があると考えられる。 船長及び漁ろう長が、大きく減速するなどの操船を確実に行わなかったのは、これまでよりも高い波が接近するのを認めた際、転覆するおそれのある急迫した状況になるとの予測ができなかったこと、又は斜め追い波中の航行の危険性やそれを回避する方法を熟知していなかったことが関与したことによる可能性があると考えられる。 本船が、大傾斜して復原することができなかったのは、乾舷が小さいこと、重心が高いこと、及び船型が瘠せていることなどが関与したことによるものと考えられる。 本船の乾舷が小さく、重心が高く、船型が瘠せているのは、総トン数の範囲内で暴露甲板上に大重量の網や漁ろう設備等を配置したうえで、広い作業スペースを確保しようとしたことによるものと考えられる。 |
死傷者数 | 死亡:11人(船長ほか10人)、行方不明:甲板員、負傷:10人(機関長ほか9人) |
勧告・意見 | |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。