報告書番号 | MA2010-5 |
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発生年月日 | 2008年07月22日 |
事故等種類 | 衝突 |
事故等名 | 貨物船NORD POWER貨物船HAI YING衝突 |
発生場所 | 関門港関門航路 台場鼻灯台から真方位185°1,630m付近 |
管轄部署 | 事務局 |
人の死傷 | |
船舶種類 | 貨物船:貨物船 |
総トン数 | 30000t以上:500~1600t未満 |
報告書(PDF) | 公表 |
公表年月日 | 2010年05月28日 |
概要 | 貨物船NORD POWER(ノード パワー)は、船長ほか19人が乗り組み、関門水先区水先人2人が乗船し、関門港若松第5区製鉄戸畑泊地を出港して、戸畑航路から関門航路の六連島東方に向けて航行中、また、貨物船HAI YING((ハイ イン)は、船長ほか9人が乗り組み、山口県下関市六連島東方の錨地を抜錨し、同港若松第5区堺川泊地に向けて関門航路を航行中、平成 20年7月22日07時42分30秒ごろ関門航路内において衝突した。 NORD POWERには、船首部の凹損などが生じ、HAI YINGには、右舷外板にき裂を伴う凹損が生じて貨物倉などに浸水し、船体が右舷側に傾斜したが、両船とも死傷者はいなかった。 |
原因 | 本事故は、関門港において、A船が戸畑航路から関門航路に向けて北進中、B船が関門航路を東進中、A船が、関門航路内で出会うおそれがあるB船の進路を避けず、同一針路で増速を続けて航行し、また、B船が、A船と間近に接近し、A船の動作のみではA船との衝突を避けることができない状況となったことに気付かなかったため、関門航路にほぼ沿う針路としてほぼ同一速力で航行し、両船が衝突したことにより発生したものと考えられる。 A船が関門航路内で出会うおそれがあるB船の進路を避けなかったのは、水先人A2が、事実上の操船指揮を行っていた際、B船に増速要請を行うことで、B船が増速してA船の前方を通過するものと思い込んでいたこと、及び船長Aが適切な操船指揮を行わなかったことによるものと考えられる。 水先人A2が、B船に増速要請を行うことで、B船が増速してA船の前方を通過するものと思い込んでいたのは、通常、要請に対しては、各船が応じてくれていたことによるものと考えられる。 船長Aが適切な操船指揮を行わなかったのは、水先人から適切な助言が行われなかったこと、並びに船橋内における情報の活用及び連携等が適切に行われなかったことによるものと考えられる。 関門水先人会が、水先人2人乗船時の役割分担及び相互の連携について、両水先人に周知徹底していなかったことは、本事故の発生に関与した可能性があると考えられる。 B船が、A船と間近に接近し、A船の動作のみでは衝突を避けることができない状況となったことに気付かなかったのは、船長Bが、B船が関門航路を航行しているので、A船が避けてくれると判断していたことによる可能性があると考えられる。 船長Bは、3番船から全速力後進及び右舵一杯の要請を受けたものの、右舷側には灯浮標があり、航路外は水深が浅いので、左舵30°を取って衝突を避けようとしたが、以前からの要請により増速中であったので、減速せず、例えば、停止するなどの衝突を避けるための最善の協力動作をとらなかったものと考えられる。 |
死傷者数 | なし |
勧告・意見 | |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。