報告書番号 | MA2010-10 |
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発生年月日 | 2009年04月03日 |
事故等種類 | 衝突 |
事故等名 | 貨物船MAY STAR漁船明神丸衝突及び貨物船MAY STAR乗揚 |
発生場所 | Ⅰ 広島県尾道市細島北方沖 長太夫礁灯標から真方位321°630m付近 Ⅱ 広島県尾道市細島北方沖 長太夫礁灯標から真方位158°200m付近 |
管轄部署 | 事務局 |
人の死傷 | |
船舶種類 | 貨物船:漁船 |
総トン数 | 10000~30000t未満:5t未満 |
報告書(PDF) | 公表 |
公表年月日 | 2010年10月29日 |
概要 | Ⅰ 1件目の事故 貨物船 MAY STAR(メイ スター)は、船長ほか21人が乗り組み、水先人を乗船させ、広島県三原市小佐木島北方から長太夫礁北方にかけての水道を東進中、また、漁船明神(みょうじん)丸は、船長ほか2人が乗り組み、同水道を小佐木島と長太夫礁との間に向けて南西進中、平成21年4月3日04時48分ごろ、尾道市細島北方沖において両船が衝突した。 MAY STARには、損傷がなく、明神丸には、船首部にき裂などが生じたが、両船とも死傷者はいなかった。 Ⅱ 2件目の事故 MAY STARは、衝突後、右に回頭しながら南進し、平成21年4月3日04時51分ごろ、細島北方沖の浅所に乗り揚げた。 MAY STARには、左舷船首船底に破口などが生じたが、死傷者はいなかった。 |
原因 | Ⅰ 1件目の事故 本事故は、夜間、尾道市細島北方沖の本件水道において、MAY STAR(以下「A船」という。)が本件水道の内側を東進中、漁船明神丸(以下「B船」という。)が本件水道を横切って南西進中、A船が、コンパス方位に明確な変化がない状態で接近するB船に対して注意喚起信号を行ったものの、衝突を避けようとして減速することなく右転して航行し、また、B船が、接近するA船に気付かずにA船の通航を妨げる状態で航行したため、両船が衝突したことにより発生したものと考えられる。 A船が減速することなく右転したのは、水先人A2が、B船とは横切り船の航法が適用されると考え、B船が避航船であり、しかもB船に対して注意喚起信号も行ったので、B船がA船を避けてくれると思い込んでいたことによるものと考えられる。 B船が接近するA船に気付かずにA船の通航を妨げる状態で航行したのは、B船の船長が、左舷船首方で操業するC船に意識を集中し、適切な見張りを行っていなかったことによるものと考えられる。 Ⅱ 2件目の事故 本事故は、夜間、A船が、尾道市細島北方沖の本件水道を東進中、B船を避けようとして右舵一杯をとったものの衝突し、衝突後も右舵一杯とした状態で右回頭を続けたため、細島北東端の細頭の北方を航行しようとして左舵20°、続いて左舵一杯をとったが、右回頭を止めることができずに細島北方の浅所に向けて航行し、同浅所に乗り揚げたことにより発生したものと考えられる。 A船が衝突後も右舵一杯とした状態で右回頭を続けたのは、内海水先区水先人が、A船の船尾がB船を通過するのを確認することに意識を集中していたことによるものと考えられる。 A船は、左舵20°、続いて左舵一杯をとったが、右回頭を止めることができなかったのは、右回頭惰力が大きくなっていたこと、機関を停止していたので舵効が十分でなかったこと、及びA船の右回頭が進むにつれ、右舷船首よりも右舷船尾に受ける潮流の影響が強くなって船尾が左方に圧流されたことによる可能性があると考えられる。 |
死傷者数 | なし |
勧告・意見 | |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。