JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2012-12
発生年月日 2011年08月17日
事故等種類 転覆
事故等名 旅客船第十一天竜丸転覆
発生場所 静岡県浜松市天竜区二俣の天竜川  天竜区所在の鳥羽山三角点から真方位028°570m付近
管轄部署 事務局
人の死傷 死亡:負傷
船舶種類 旅客船
総トン数 5t未満
報告書(PDF) 公表説明資料
公表年月日 2012年12月21日
概要  旅客船第十一天竜丸は、船頭2人が乗り組み、乗客21人を乗せ、天竜川を下流に向けて航行中、平成23年8月17日(水)14時17分ごろ静岡県浜松市天竜区二俣の天竜川の左岸の岩場に乗り揚げた後に転覆し、乗客4人及び船頭1人が死亡するとともに乗客5人が負傷した。
原因 (1) 本事故の原因
 本事故は、本船が、天竜川の本件航路を航行中、本件水域に発生していた本件噴流の中心から右岸寄りを航行し、右に旋回して上流に向く態勢となった際、本船とも乗りが船外機のスロットルを操作してプロペラの回転数を増加させたため、上流からの強い流れによる圧力と船外機の推進力とが均衡する状況となり、左岸側の下流に向かう強い流れにより船首を上流に向けることができず、左岸の岩場に向けて斜航して岩場に乗り揚げ、左舷船尾部から浸水して転覆したことにより発生したものと考えられる。
 本船とも乗りが、船外機のスロットルを操作してプロペラの回転数を増加させたのは、上流に遡ってやり直すつもりであったことによるものと考えられる。
 本件会社が、とも乗り養成の教育プログラムや教育訓練マニュアルを作成しておらず、とも乗りとしての操船技能等を一定以上に保有させる措置が適切でなかったことは、本船とも乗りの船外機の使用に影響を及ぼし、本事故の発生に関与した可能性があると考えられる。
 本件会社が、本件水域における噴流が川下り船の姿勢を変化させることの危険性及び川下り船の姿勢が変化した場合の安全な操船方法について検討しておらず、これらに関する船頭の安全教育を行っていなかったことは、本事故の発生に関与した可能性があると考えられる。
(2) 人的被害発生の原因
 本船は、転覆したことにより、本船乗客、本船とも乗り及び本船へ乗りの全員計23人が落水したが、本船へ乗りが、救命クッションの使用方法の説明を行っていなかったこと、及び本件会社が、救命胴衣の着用に関する作業基準の定めを船頭に遵守させる措置を講じておらず、また、小型船舶安全規則に適合する幼児用救命胴衣を備えていなかったため、本船乗客は、落水時に救命具を使用できる状況になく、4人が死亡するとともに、5人が負傷したものと考えられる。
 本船とも乗りは、ふだんから救命胴衣を着用していなかったため、死亡した可能性があると考えられる。
死傷者数 死亡:5人(乗客及び船頭)、負傷:5人(乗客)
勧告・意見 意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。