報告書番号 | MA2011-3 |
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発生年月日 | 2009年04月30日 |
事故等種類 | 死傷等 |
事故等名 | 旅客船第九十八あんえい号旅客負傷 |
発生場所 | 沖縄県竹富町西表島北東方沖 竹富町鳩間島灯台から真方位137°5.6海里付近 |
管轄部署 | 事務局 |
人の死傷 | 負傷 |
船舶種類 | 旅客船 |
総トン数 | 5~20t未満 |
報告書(PDF) | 公表 |
公表年月日 | 2011年03月25日 |
概要 | 旅客船第九十八あんえい号は、船長及び甲板員1人が乗り組み、旅客28人を乗せ、竹富町西表島から沖縄県石垣市石垣島に向け航行中、平成21年4月30日(木)09時40分ごろ、西表島北東方沖において船体が縦に動揺した際に旅客2人が負傷した。 |
原因 | 本事故は、A船が、基準経路から外れて西表島北東方沖のリーフ沿いに波高約1.5~2mの東北東からの連続した波を左舷船首から受けて東南東進中、船長Aが本件大波の接近に直前まで気付かずに原速力で航行していたため、船首が本件大波の波頂に乗って波間に落下し、前部客室の旅客2人が、座席から身体が浮いて離れた後、座席に自由落下した衝撃で腰椎を圧迫骨折したことにより発生したものと考えられる。 A船が原速力で航行していたのは、船長Aが、大きな波に遭遇すると減速及び針路を変更して船体が縦に動揺するのを軽減しようとしていたものの、波が通過すると原速力に戻していたことによるものと考えられる。 船長Aが、本件大波の接近に直前まで気付かなかったのは、赤離島東方リーフ近くの変針予定場所に接近したので、船首方及び右舷側リーフとの距離を確認するために右舷船首方を見ていたことによるものと考えられる。 A船が基準経路から外れて西表島北東方沖のリーフ沿いを航行したのは、船長Aが、A社の他船船長からの西表島北東岸のリーフ沿いを航行すれば、リーフにより波が打ち消されるというアドバイスを思い出し、第1便復路より波による船体の動揺が小さくなると思ったこと、及び安全管理規程の基準経路図を見たことがなく、本件経路が基準経路であると思い込んでいたことによる可能性があると考えられる。 船長A及び甲板員Aが、旅客に船体の動揺が少ない後方の客室に座るよう船内放送等による案内や誘導を行わなかったこと、及び船長Aが、旅客にシートベルトの着用を周知しなかったことは、本事故の発生に関与した可能性があると考えられる。 A社が、安全管理規程に基づき、乗組員に対し、A社の運航基準等について、適切な安全教育を行っていなかったことは、本事故の発生に関与した可能性があると考えられる。 |
死傷者数 | 負傷:2人(旅客) |
勧告・意見 | 勧告・意見 |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。