報告書番号 | MA2021-3 |
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発生年月日 | 2019年10月15日 |
事故等種類 | 衝突 |
事故等名 | コンテナ船APL PUSAN貨物船晶徳丸衝突 |
発生場所 | 神奈川県横須賀市横須賀港北東方沖の浦賀水道航路 第2海堡灯台から真方位317°1.3海里付近 |
管轄部署 | 事務局 |
人の死傷 | |
船舶種類 | 貨物船:貨物船 |
総トン数 | 10000~30000t未満:200~500t未満 |
報告書(PDF) | 公表 |
公表年月日 | 2021年03月25日 |
概要 | コンテナ船APL PUSANは、船長ほか22人が乗り組み、水先人の水先により京浜港横浜第2区に向け、また、貨物船晶徳丸は、船長及び航海士ほか2人が乗り組み、京浜港横浜区Y1錨地に向け、両船共に浦賀水道航路を北西進中、令和元年10月15日04時22分ごろ、同航路内において、両船が衝突し、その後、APL PUSANが灯浮標に衝突した。 APL PUSANは、左舷船首部外板の凹損等を生じ、晶徳丸は、船首部ブルワークの圧壊等を生じ、また、灯浮標は、防護枠の曲損等を生じたが、両船共に死傷者はいなかった。 |
原因 | 本事故は、夜間、浦賀水道航路北口付近において、APL PUSAN及び晶徳丸が共に同航路を北西進中、APL PUSANの水先人が、晶徳丸に国際VHF無線電話装置(VHF)等により右舷側を追い越す意図を伝えていなくても無難に追い越すことができると思い、晶徳丸を追い越す態勢で航行を続け、また、晶徳丸の航海士が、海上保安庁東京湾海上交通センター(東京マーチス)から中ノ瀬航路航行義務があるとの情報提供を受けた際、右舷後方のAPL PUSANの存在を知らずに中ノ瀬航路に向けて右転したため、両船が衝突し、その後、APL PUSANの右舷船首部が浦賀水道航路第8号灯浮標(本件ブイ)に衝突したものと考えられる。 APL PUSANの水先人が、晶徳丸にVHF等により右舷側を追い越す意図を伝えていなくても無難に追い越すことができると思ったのは、晶徳丸が、浦賀水道航路の中央に向けて航行した後、第2海堡南西方を通過しても中ノ瀬航路に向けて右転しておらず、浦賀水道航路北口に向けて北西進を続けていたことによるものと考えられる。 晶徳丸の航海士が、右舷後方のAPL PUSANの存在を知らずに中ノ瀬航路に向けて右転したのは、速力制限のある浦賀水道航路を航行する船舶の速力差が少なく、追い越されることはないという思いがある中で、東京マーチスから中ノ瀬航路航行義務がある旨の情報提供を受けた際、それを指示だと思い、直ちに中ノ瀬航路に入航する必要があり、また、すぐに右転しなければ右舷船首方の本件ブイの手前で旋回して中ノ瀬航路に入航できないと思い、船首方の船舶及び中ノ瀬航路へ右旋回することに意識を向けて航行していたことによるものと考えられる。 晶徳丸の船長が浦賀水道航路における船橋当直を晶徳丸の航海士に任せていたこと、晶徳丸の船長と航海士との間で航海計画等の航海に必要な情報の共有が適切に行われずに航海士による船橋当直が行われていたこと、並びに晶徳丸の航海士が、予定錨地の名前がY1錨地であることを知らずに予定錨地と異なる場所を東京マーチスに伝えたこと及びVHFによる東京マーチスからのAPL PUSANに関する情報提供等を聴取せずに航行を続けたことは、本事故の発生に関与したものと考えられる。 |
死傷者数 | なし |
勧告・意見 | |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 | 関係団体への周知協力依頼 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。