JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2020-10
発生年月日 2019年12月02日
事故等種類 死傷等
事故等名 旅客船なんきゅう10号旅客負傷
発生場所 鹿児島県南大隅町根占港港外 根占港北防波堤灯台から真方位316˚ 360m付近
管轄部署 事務局
人の死傷 負傷
船舶種類 旅客船
総トン数 5~20t未満
報告書(PDF) 公表説明資料
公表年月日 2020年11月26日
概要  旅客船なんきゅう10号は、船長及び甲板員が乗り組み、旅客55人を乗せ、鹿児島県指宿市指宿港に向けて、鹿児島県南大隅町根占港を出航し、根占港港外を北北西進中、令和元年12月2日16時24分ごろ、船首方から高波を受け、船体が上下に大きく動揺して船首が持ち上がり、椅子席に腰を掛けた姿勢の旅客の身体が浮き上がった後に、旅客が同席へ落下した衝撃により14人が負傷した。
原因  本事故は、旅客船なんきゅう10号が、株式会社なんきゅうドックの安全管理規程に定める発航中止条件及び基準航行中止条件の基準に達する気象及び海象の下、根占港を出航し、同港港外を約12knの速力で基準航路より北方の北北西に向けて航行し続けたため、高波を船首から受け、船体が波に乗り上がって船首が持ち上がり、客室の椅子席に腰を掛けた姿勢の旅客の身体が浮き上がって、旅客が臀部等から同席へ落下して衝撃を受け、負傷したことにより発生したものと考えられる。
 なんきゅう10号が、根占港港外を約12knの速力で基準航路より北方の北北西に向けて航行し続けたのは、船長が、船体が上下に動揺するものの、運航基準表に定める速力より減速していたことから、船首方からの波を左転しながらかわせば、安全に運航できると思ったこと、及び北北西に針路をとることにより、風及び波を船首方から受けるものの、根占港北防波堤灯台西方に設置されたいけす群へ圧流されることを避けることができると思ったことによるものと考えられる。
 船長が、船体が上下に動揺するものの安全に運航できると思ったのは、船体が上下に動揺した際に、旅客の身体が椅子席から垂直方向に浮き上がり、旅客が同席に落下して脊椎骨折等を負う可能性があると思わなかったことによるものと考えられる。
 なんきゅう10号が、風速が株式会社なんきゅうドックの安全管理規程に定める発航中止条件の基準に達する気象及び海象の下、根占港を出航したのは、船長が、風速、波高ともに発航中止条件の基準を超えた場合に発航を中止すべきとの認識であったこと、また、発航の可否判断を運航管理者から一任されていたことによるものと考えられ、このことが本事故の発生に関与した可能性があるものと考えられる。
死傷者数 負傷:旅客14人
勧告・意見 勧告
情報提供
動画(MP4)

備考 関係団体への周知協力依頼
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。