報告書番号 | MA2020-7 |
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発生年月日 | 2018年12月30日 |
事故等種類 | 衝突(単) |
事故等名 | 旅客船にっぽん丸衝突(係船施設) |
発生場所 | アメリカ合衆国準州グアム島アプラ港 アプラ港入口導灯(前灯)から真方位333°140m付近 |
管轄部署 | 事務局 |
人の死傷 | |
船舶種類 | 旅客船 |
総トン数 | 10000~30000t未満 |
報告書(PDF) | 公表/説明資料 |
公表年月日 | 2020年08月27日 |
概要 | 旅客船にっぽん丸は、船長ほか204人が乗り組み、旅客419人を乗せ、平成 30年12月30日21時04分(グアム現地時間)ごろサイパン島に向けてアメリカ合衆国準州グアム島アプラ港F-4岸壁を離岸した後、同岸壁西方の水域で港口に向けて左回頭中、後進しながら対岸のD桟橋(米国海軍施設)に接近し、21時13分27秒ごろD桟橋のドルフィンに衝突した。 にっぽん丸は、右舷船尾部外板及び左舷船尾部外板に破口を生じたが、死傷者はいなかった。 また、D桟橋のドルフィンに破損を生じた。 なお、にっぽん丸は、本事故の発生を受けて、就航中のクルーズの運航を取りやめ、旅客のうち2人が病気、付き添いにより平成31年1月7日までグアムに滞在したが、それ以外の旅客全員が平成31年1月3日までに空路にて日本に帰国した。 |
原因 | 本事故は、にっぽん丸がグアム島アプラ港F-4岸壁西方の水域において左回頭中、船長が、ジョイスティックを操作してにっぽん丸の左回頭を助長しようとした際、 ジョイスティックを右舷側一杯に倒すつもりであったところ、船尾側一杯に倒し、また、そのことに気付かないまま、ジョイスティックを船尾側一杯に倒し続けたため、にっぽん丸が左回頭しながら後進し、船尾部がF-4岸壁の対岸に位置するD桟橋のドルフィンに衝突したものと考えられる。 船長が、ジョイスティックを右舷側一杯に倒すつもりであったところ、船尾側一杯に倒したのは、ジョイスティックを右舷側一杯に倒すには、体を船尾方に向けて体の左側一杯にジョイスティックを倒せばよいという意識を持って操作を行ったものの、ふだんと異なる立ち位置及び体の向きで操船していたことから、体を船尾方に向けきらないまま左舷方に向いた状態でジョイスティックを体の左側一杯に倒したことによるものと考えられる。 船長が、ジョイスティックを船尾側一杯に倒したことに気付かないまま倒し続けたのは、ジョイスティックを操作する自分の手元及び船外表示器を見ることなく操船し続けたこと、船尾配置の航海士からの報告内容をにっぽん丸がD桟橋に接近していることを示すものと思わなかったこと、及び操船補佐を行っていた航海士及び水先人の進言及び助言の意図が理解できなかったことによるものと考えられる。 船長が、ジョイスティックを操作する自分の手元及び船外表示器を見ることなく操船し続け、及び船尾配置の航海士からの報告内容をにっぽん丸がD桟橋に接近していることを示すものと思わなかったのは、にっぽん丸がサイドスラスタ及びタグボートによって左回頭を続けていたこと、及び船尾配置の航海士の報告内容をにっぽん丸が左回頭を続けている証拠であると解釈し、自分が正しいと思っていることを追認する情報を選択的に集めたことにより、自分の操船が正しいと思い込んでいたことによるものと考えられる。 船長が、操船補佐を行っていた航海士及び水先人の進言及び助言の意図が理解できなかったのは、自分が正しいと思っていることの反証となる情報を軽視してしまいがちになっていたことによるものと考えられる。 船長が、自分が操船の主導権を持って離岸回頭を行いたいと考えており、また、操船補佐を行っていた航海士が新人で、教育期間中の段階にあると認識していたことは、水先人及び操船補佐を行っていた航海士からの助言及び進言よりも自分自身の判断に重きをおいて操船を行うことにつながり、このことが、ジョイスティックを船尾側一杯に倒したことに気付かないまま倒し続けたことに関与した可能性があると考えられる。 |
死傷者数 | なし |
勧告・意見 | |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。