報告書番号 | RI2024-1-1 |
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発生年月日 | 2022年10月17日 |
区分 | 鉄道 |
発生場所 | 豊肥線 豊後荻駅~玉来駅間(単線)[大分県竹田市] |
事業者区分 | JR |
事業者名 | 九州旅客鉄道株式会社 (法人番号 6290001012621) |
事故等種類 | 車両障害 |
踏切区分 | |
人の死傷 | |
都道府県 | 大分県 |
報告書(PDF) | 公表/説明資料 |
公表年月日 | 2024年02月29日 |
概要 | 九州旅客鉄道株式会社の豊肥線豊後荻駅発豊後竹田駅行き1両編成、下り普通第4427D列車は、令和4年10月17日(月)、豊後荻駅を定刻(6時21分)に出発して14分後に豊後竹田駅に到着した。豊後竹田駅に到着後、運転士は、乗客の一人から「走行中にドアの1か所が開いた」との申告を受けた。 列車の運転状況記録装置には、走行中に右側(以下、前後左右は列車の進行方向を基準とする。)の旅客用乗降口のドアを開く指令線が加圧されていたことが記録されており、いずれかの旅客用乗降口のドアが開くと滅灯する戸閉め表示灯の滅灯も記録されていた。 列車には乗客19名と運転士1名が乗車していたが、転落等による負傷者はいなかった。 |
原因 | 本重大インシデントは、列車の右側のドア開指令線である315線が走行中に意図せず加圧されてもドアが開かないようにする戸閉め保安回路が正常に機能しない状態において、315線に制御電源の電圧が一時的に印加されたため、列車の走行中に右側後方のドアが開いたことにより発生したものと考えられる。 315線に制御電源の電圧が一時的に印加されたことについては、ジャンパー連結器のケーブルが裂傷しており、制御電源の正極側である1線が損傷していたことから、同ケーブルの裂傷部から内部に浸入した雨水によって1線と315線に混触が発生したことによるものと考えられる。また、同ケーブルの裂傷は、本重大インシデント発生前直近の交番検査以降から本重大インシデント発生前日までの間に動物と衝突した際に生じた可能性が考えられる。 九州旅客鉄道株式会社が同ケーブルの裂傷を見付けることができなかったことについては、本重大インシデント発生前直近の交番検査以降に列車に使用された車両を運転した運転士が動物と衝突したことに気付かなかったこと、又は動物と衝突したこと、若しくは衝突した際の異音を感じたことを申告しなかったことにより、車両所等で同ケーブルの点検を行わなかったことが関与した可能性が考えられる。 同戸閉め保安回路が正常に機能しない状態になっていたことについては、同戸閉め保安回路を構成する速度検出補助継電器の電源線が誤結線されていたことによるものと認められる。 同継電器の電源線は、株式会社新潟鐵工所が車両を製造したときに誤結線したと考えられ、新潟鐵工所は、 (1) 作業者に対して結線作業後に図面どおりに結線されているか確認することを徹底させていなかった可能性が考えられること、 (2) 同継電器の電源線の配線導通検査を実施していなかったと考えられること、 (3) 同戸閉め保安回路の機能検査を実施していなかったと考えられること から、誤結線が生じる可能性を予見できておらず、車両を製造したときに誤結線を見付けることができなかった可能性が考えられる。 九州旅客鉄道株式会社は、全般検査及び要部検査において同継電器の動作確認を車両に取り付けた状態で実施していなかったため、同継電器が誤結線によって動作しないことを本重大インシデント発生前に見付けることができなかったと推定される。 |
死傷者数 | なし |
勧告・意見(建議) | |
情報提供 | 国土交通省鉄道局への情報提供 |
動画(MP4) | |
備考 |