報告書番号 | RI2016-1-1 |
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発生年月日 | 2015年05月22日 |
区分 | 鉄道 |
発生場所 | 長崎線 肥前竜王駅構内[佐賀県杵島郡白石町] |
事業者区分 | JR |
事業者名 | 九州旅客鉄道株式会社 |
事故等種類 | その他 |
踏切区分 | |
人の死傷 | |
都道府県 | 佐賀県 |
報告書(PDF) | 公表/説明資料 |
公表年月日 | 2016年06月30日 |
概要 | 九州旅客鉄道株式会社の博多駅発長崎駅行き7両編成の下り特急第2019M列車は、平成27年5月22日(金)、博多駅を定刻(11時15分)に出発した。その後、同列車の運転士は、肥前白石駅~肥前竜王駅間を速度約100km/hで惰行運転中、肥前竜王駅下り場内信号機の進行現示を確認喚呼した後、異音を感知したため、直ちに非常ブレーキを使用し列車を停止させた。その後停止した状況を輸送指令員に連絡した。 輸送指令員は連絡を受けた後、下り特急第2019M列車と上り特急第2020M列車の行き違い駅を肥前鹿島駅から肥前竜王駅に変更した。 下り特急第2019M列車の運転士は異音感知現場の確認及び車両の点検を行い、輸送指令員の指示を受け、運転を再開したところ、本来の進路と異なる肥前竜王駅1番線に進入したことを認めたため、直ちにブレーキを使用し列車を停止させた。 一方、上り特急第2020M列車の運転士は、輸送指令員からの行き違い駅の変更の通告を受け、肥前鹿島駅を出発し、肥前竜王駅の1番線の所定停止位置に停止したところ、同じ1番線前方(車両は各列車の前から数え、前後左右は各列車の進行方向を基準とする。)に下り特急第2019M列車が停止していることに気付いた。 |
原因 | 本重大インシデントは、進行信号を現示している肥前竜王駅下り場内信号機を越えた位置に停止した下り特急列車が、同信号機に停止信号が現示された後、輸送指令員の指示により運転再開された結果、同信号機の停止信号を冒進した状態となり、同駅の1番線に停車する予定の上り特急列車に対する過走余裕距離の区間内に進入し、その後、輸送指令員の指示及び信号の現示に従い運転された上り特急列車が上り場内信号機を越えたため、過走余裕距離の区間に2列車が同時に運転される可能性が生じる事態になり、発生したものと考えられる。 下り特急列車が停止信号を現示している下り場内信号機を冒進した状態となり、上り特急列車に対する過走余裕距離の区間に進入したことについては、下り特急列車運転士と輸送指令員との間で、下り特急列車の停止位置に関する認識が異なる状況で、 (1) 輸送指令員が下り場内信号機を復位し、上り特急列車の肥前竜王駅1番線への進路を構成した結果、過走余裕距離の区間内にある分岐器が1番線側に転換していたこと、 (2) 輸送指令員が下り特急列車運転士に対して停止位置に関する詳細な確認を行わずに、運転再開の指示を行ったこと から、既に駅構内に進入していると認識していた下り特急列車運転士が、場内信号機の現示確認を行わずに、運転を再開したことによるものと考えられる。 なお、輸送指令員が下り特急列車運転士に運転の再開を指示したことについては、下り特急列車が肥前竜王駅下り場内信号機の付近ではなく、同信号機の外方で、肥前白石駅方へ離れた位置に停止していると認識して、運転再開後に場内信号機の停止信号の現示を確認して停止すると判断したことが関与したものと考えられる。 また、下り特急列車運転士と輸送指令員の間で列車の停止位置に関する認識が異なっていたことについては、同社が決めた停止位置の報告及び確認の方法が遵守されていなかったことが関与したものと考えられる。なお、その背景には、同社が報告や確認の作業実態を把握していなかった状況があったと考えられる。 |
死傷者数 | なし |
勧告・意見(建議) | |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 |