JSTB 運輸安全委員会

概要

報告書番号 MA2014-2
発生年月日 2013年11月25日
事故等種類 死傷等
事故等名 漁船高千穂丸乗組員死亡
発生場所 熊本県天草市亀島東北東方沖 天草市所在の鬼池港防波堤A東灯台から真方位112°1,300m付近
管轄部署 長崎事務所
人の死傷 死亡
船舶種類 漁船
総トン数 5t未満
報告書(PDF) 公表
公表年月日 2014年02月28日
概要  本船は、船長及び甲板員の2人が乗り組み、平成25年11月25日12時15分ごろ、亀島東北東方沖の漁場に到着し、刺し網を投網し始めた。
 本船は、12時30分ごろ、最後の12反目の刺し網を投網した際、プロペラに絡網した。
船長は、船尾甲板で甲板員と一緒に網を引き寄せ、絡まった網の片方を切り離せたものの、残る片方がなかなか切り離せなかったので、いつものように潜って切り離すと言い出した。
 甲板員は、寒いからやめておくよう、制止をしたが、船長は、長靴、上着、ズボン及び靴下を脱ぎ、裸足に長袖及びズボン下だけの下着姿となり、甲板員が、船長の方を見ながら、命綱を準備していたところ、13時00分ごろ、命綱を着けず、鎌を持ち、船尾から水中に入った。
 甲板員は、13時01分ごろ、船長の「あっ」という声が東北東方に向いていた船首方から聞こえ、すぐに船長を見付けたものの、本船から約20mの所において、すぐに沈んでしまい、浮いて来なかったが、当日、携帯電話を自宅に置き忘れて持参していなかったので、僚船等に救助を要請することができなかった。
 僚船船長は、12時00分ごろ本船が出港するところを見ており、本事故当日は翌日の揚網に備え、刺し網を投入するだけということを知っていたので、1時間もかからずに帰って来ると思っていたが、15時00分ごろになっても帰って来ていなかったので、単独で僚船に乗り、様子を見に行ったところ、網がプロペラに絡まっていた本船及び甲板上に横になって動けずにいた甲板員を発見した。
 僚船船長は、甲板員の足が少し不自由であり、風が出て来ており、時化て波が高くなっていたので、僚船で救助することを断念し、海上保安部に救助要請を行った。
 甲板員は、来援した巡視艇に救助され、本船は、ダイバーによって絡網が切り離された後、天草市御領漁港にえい航された。
 船長は、11月30日15時36分ごろ、天草市通詞島北東方約4.6kmの海上において、うつ伏せで漂流中のところを通り掛かった遊漁船船長に発見され、通報を受けた海上保安部の巡視艇に揚収されたものの、すでに心肺停止状態であり、病院に搬送された後、医師に内因性心臓死(内因性急性死)と検案された。
原因  本事故は、本船が、亀島東北東方沖で投網中、プロペラに絡網した際、船長が、プロペラに絡んだ網を切り離そうと水中に潜ったため、発生したものと考えられる。
死傷者数 死亡:1人(高千穂丸船長)
勧告・意見
情報提供
動画(MP4)

備考
  • ※船舶事故報告書及び船舶インシデント報告書の様式にはそれぞれ下記のまえがきと参考が記載されていますが、平成25年7月公表分より利用者の便宜を考慮して省略しております。

《船舶事故報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。

《船舶インシデント報告書のまえがき》

本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。

《参考》

報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。

  1. 断定できる場合は「認められる」
  2. 断定できないが、ほぼ間違いない場合は「推定される」
  3. 可能性が高い場合は「考えられる」
  4. 可能性がある場合は「可能性が考えられる」又は「可能性があると考えられる」
  • ※報告書に勧告等が含まれる場合は、勧告・意見欄に文言が表示されます。クリックすると「勧告・意見・安全勧告」ページが表示されます。
  • ※関係行政機関への情報提供がある場合は、情報提供欄に文言が表示されます。クリックすると「関係行政機関への情報提供」ページが表示されます。
  • ※動画がある場合は、動画欄にタイトルが表示されます。