報告書番号 | MA2014-5 |
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発生年月日 | 2012年02月07日 |
事故等種類 | 衝突 |
事故等名 | コンテナ船KOTA DUTA貨物船TANYA KARPINSKAYA衝突 |
発生場所 | 新潟県新潟市新潟港東区内 新潟港東区西防波堤灯台から真方位180°4,900m付近 |
管轄部署 | 事務局 |
人の死傷 | 負傷 |
船舶種類 | 貨物船:貨物船 |
総トン数 | 5000~10000t未満:1600~3000t未満 |
報告書(PDF) | 公表 |
公表年月日 | 2014年05月30日 |
概要 | コンテナ船KOTA DUTAは、船長ほか24人が乗り組み、新潟県新潟市新潟港東区の西ふ頭3号岸壁を離岸して航行中、貨物船TANYA KARPINSKAYAは、船長ほか16人が乗り組み(乗組員は全員で18人であったが、乗組員の1人は、綱取りのため、船舶代理店担当者と共に南ふ頭へ車で移動中)、同区の中央ふ頭東岸壁を離岸し、同区の南ふ頭へ向けて航行中、平成24年2月7日16時22分ごろ、水路の交差部において、KOTA DUTA の船首部とTANYA KARPINSKAYA の右舷前部とが衝突した。 TANYA KARPINSKAYA は沈没したが、乗組員は全員が救助された。KOTA DUTA は、船首部に損傷を生じたが、死傷者はいなかった。 |
原因 | 本事故は、新潟港東区において、A船が西ふ頭3号岸壁を離岸して北東進中、B船が中央ふ頭東岸壁から南ふ頭に向けて南南東進中、両船が本件掘下げ済み水路の交差部で進路が交差する状況で接近した際、船長A及び船長Bが、VHFを使用して両船が左転して右舷を対して通過する通航方法に合意したため、合意を実行しようとし、船長Aが左舵一杯で、また、船長Bが左舵15°でそれぞれ航行したところ、両船が、船首方位に変化が認められず、合意した通航方法とならない状況で接近を続けることとなり、衝突したことにより発生したものと考えられる。 船長Aが、VHFを使用して両船が左転して右舷を対して通過する通航方法に合意したのは、B船が右舷を対して通過することを再確認したこと、B船がVHFで力強く右舷対右舷と述べていたこと、同乗者の右舷対右舷であるとの報告が力強い口調に感じたこと、並びに船長職の引継ぎのために乗船していた同乗者及び船長Bが右舷対右舷と述べていたことから、B船が右舷を対して通過することを確信したことによるものと考えられる。 船長Bが、VHFを使用して両船が左転して右舷を対して通過する通航方法に合意したのは、A船からVHFでB船の船名をロシア語で呼び出されたとき、航法を判断するだけの距離及び時間がなく、B船の左舷側は広い海域であり、B船が左転するのは容易であったこと、及びA船が水路の交差部のどこで左転するかが予測できず、衝突を避けるためには両船の進路が交差しない方が安全だと思い、右舷を対して通過する通航方法を申し出たことによるものと考えられる。 船長A及び船長Bは、VHFを使用して右舷を対して通過する通航方法に約20秒を要して合意したが、この間に両船が約600mまでに接近しており、合意を実行しようとして動作をとったところ、相手船に船首方位の変化が認められず、合意した通航方法とならない状況で両船が更に接近した際、衝突回避の動作をとる余裕がなくなったものと考えられ、通航方法の合意に約20秒を要したことは本事故の発生に関与した可能性があると考えられる。 |
死傷者数 | 負傷:2人(TANYA KARPINSKAYA乗組員) |
勧告・意見 | 安全勧告 |
情報提供 | |
動画(MP4) | AISデータの再現(2分12秒) CGによる事故状況の再現(その1(2分58秒)) CGによる事故状況の再現(その2(1分10秒)) |
備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。