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D丸 : 貨物船 498トン 乗組員5人 空船 荷役岸壁で荷揚げ後岸壁移動中
  船長:66歳 四級海技士(航海)免許 海上経験39年
発生日時場所 : 平成18年3月15日15時05分 北海道苫小牧湾
気象海象 : 晴 南東風 風力3 低潮時
死傷者 : 乗組員1人死亡

海難の概要(本海難の裁決書
 D丸は,北海道苫小牧港に着岸中,係船索による岸壁移動作業のため,船尾スプリングラインを繰り出し中,同ラインが係船機ドラムのラインの間にかみ込んでいたことから,突然巻き込みに変わり,作業中の乗組員の足が,係船索に絡まれ,係船機ドラムと上甲板との間に引き込まれて死亡した。

当時の岸壁移動作業の手順
@ 船尾スプリングラインを1ビット(25m)分船首方に延出して固定
A ヘッドラインを1ビット分前方に延出して固定
B 船首スプリングラインとスタンラインを延ばしながら,ヘッドラインと船尾スプリングラインを巻いて岸壁に沿って移動
C 所定の位置に来たとき,船首スプリングラインとスタンラインを船首方のビットに付け替え
D 各係船索を巻き締めて船体を岸壁に固定
15:02 船長は,岸壁移動作業を行うこととし,船首に一等航海士と甲板長,船尾に機関長と一等機関士を配置
岸壁側での綱取り作業の支援が得られず,一等航海士と一等機関士は船長の指示を待たずに,岸壁に降りて船尾スプリングライン先端のアイをビットから外し,船首方のビットに向けて引き始めた。
機関長は,単独で左舷側係船機を巻き出しに操作した後,係船機ドラムと船尾端まで2mと狭いエリアで,船尾スプリングラインを船尾フェアリーダーから外した状態で繰り出し作業を始めた。
船尾スプリングラインは,満船時と比べ,荷役後は船体が浮き上がるため,張力がかかり,係船機ドラムに巻かれたラインの間にかみ込む状態となっていたことから,約8m延出したところで,突然巻き込みに変わり,機関長が足を係船索に絡まれて引きずられ,ドラムと上甲板との間に身体が挟み込まれ死亡した。

何が問題?  どうすれば良かったの?
係船機作動中は,係船機ドラム,船尾(若しくは船首),岸壁側に囲まれた危険エリアには立ち入らない。(立ち入るときは,係船機ストップ!)
係船索の繰り出しは,安全のためフェアリーダーを介して危険エリア外で行う。

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