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 「レーダー見張りは行っていたので,著しく接近することを避けることができない状況となったことを認めたものの,大幅な減速又は停止しなかった」74隻(C)がとった避航動作は,
左転17隻(23%), 直進27隻(36%), 右転30隻(41%)
となっています。また,レーダー画面上で相手船の映像が船首輝線のどちら側にあるかによって,転舵する方向を決めていることが分かります。
 左転した17隻では,その相手船は,16隻が右転,1隻が直進して衝突しており,また,一度の左転が10度以下であったものが12隻ありました。
 小角度で左転後,相手船の方位が思ったほど変化しないときには,その映像が船首輝線に近付かないよう,更に小角度での左転を繰り返し,衝突に至るケースが見られます。海上衝突予防法では,霧中での左転は原則禁止されており,左転は衝突の危険性を増大させるおそれがあることに注意して下さい。
 両船の速力が12ノットで,真向かいに行き会う状況下,相手船との距離が2海里のとき,海難事例によく見られる10度の右転では,最接近距離(CPA:Closest Point of Approach)は0.17海里(310m)しかなく,30度の右転でようやくCPAが0.5海里となります。
 また,CPAが0.3海里あったものの,一船又は両船が不安を感じて転針し,衝突に至ったケースが散見されます。このことから,100〜500トンの小型の船舶であっても,操船者の不安感や船舶の運動性能などを考慮すると,「最接近距離0.3海里以内は危険距離」とみることができ,CPAは少なくとも0.5海里,広い海域では0.75〜1.0海里は隔てて通過したいものです。

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