海難レポート2003概要 |
近年、海難全体では減少傾向にあるなか、外国船が関連した海難は、毎年150〜180件程度発生しており増加の傾向にあります。 平成14年に発生した海難で理事官が認知した6,137件のうち、外国船関連海難は179件で、これらの海難によって、72人の死傷者等(死亡11人、行方不明12人、負傷者49人)が発生しています。 平成14年に地方海難審判庁で行った外国船関連海難の裁決は、66件(71隻)で、事件種類では、衝突が61件と9割を占め、他に乗揚4件などとなっています。 衝突事件の海難原因をみると、「見張り不十分」が43%、「航法不遵守」が41%とほぼ同数になっており、裁決全体と比較して「航法不遵守」の割合が高くなっています。この「航法不遵守」の内訳をみると、「港則法の航法」、「視界制限状態における航法」など、日本の港における航法、霧の発生など我が国特有の条件の下での海難が多く発生しています。 |
第1節 海難調査の国際協力体制の強化 国際海事機関(IMO)、国際海難調査官会議(MAIIF)、アジア地域海難調査機関会議(ARMAIM)などの国際会議に参加するとともに、韓国などとの二国間においても、海難調査の国際協力体制の強化を積極的に推進しています。 第2節 海難審判行政の課題と推進 海難審判庁は、「調査・裁決の迅速処理」、「海難調査の分析・広報の充実・強化」、「ITを活用した業務の効率化」を重点改革事項として、国民のニーズに応える質の高い海難審判行政を目指しています。 |
・海難審判の目的とその手続きを説明しています。 ・海難審判庁の組織、管轄区域、予算、定員を掲載しています。 ・海難の認知 平成14年に発生した海難で理事官が認知したものは、6,137件(7,225隻)で、前年に比べて188件(3%)、隻数で315隻(4%)減少しました。 これらの海難による死傷者は、636人(死亡169人、行方不明68人、負傷399人)で、負傷者は前年より6人減少しましたが、死亡、行方不明者は22人増加しました。 ・審判開始の申立 平成14年に理事官が審判開始の申立をした海難は、747件(1,140隻)で、事件種類では、衝突事件が332件(45%)、乗揚事件160件(21%)などとなっています。 ・海難審判の裁決 平成14年に言渡した裁決は、地方海難審判庁834件(1,259隻)、高等海難審判庁24件(36隻)でした。 |
地方海難審判庁で裁決された834件を、事件種類と船種からみた海難原因に分けて分析しています。 第1節 事件種類からみた海難原因 ・衝突事件は、全裁決の44%にあたる364件の裁決が行われ、その海難原因としては「見張り不十分」が55%を占めており、次いで「航法不遵守」(20%)、「信号不履行」(10%)などとなっています。 ・乗揚事件は、全裁決の21%にあたる177件の裁決が行われ、その海難原因としては「居眠り」と「船位不確認」が、それぞれ4分の1を占めています。 第2節 船種からみた海難原因 旅客船、貨物船、油送船、漁船、プレジャーボートの船種別に、どのような海難原因で発生しているか、事例をあげて解説しています。 |
・海難分析集の発刊 「GPSと海難」 (平成15年4月刊行) 航海計器としてのGPSに着目し、GPSの取扱いが海難発生の要因にかかわったとして裁決された事件を分析しています。 ・地方海難審判庁の海難原因分析 各地方海難審判庁において、それぞれ特色のある海域、船種、事件種類などにテーマを絞って海難原因の調査・分析を行い、海難の再発防止に関する情報の提供を行っています。 ・海難審判情報誌「マイアニュースレター」での裁決事例の分析 平成13年7月から隔月で発刊している「マイアニュースレター」では、裁決事例を分析し、海上交通の安全確保に有用な情報を関係行政機関、海事団体などに提供しています。 |