平素より海難審判行政に対してご支援とご協力を賜りまして厚く御礼申し上げます。 海難審判庁は、国土交通省の一翼を担い「海上交通の安全確保」のために「海難原因の探究とその発生防止に寄与すること」がその使命であります。 ひとたび海難が発生すると、尊い人命や貴重な財産が失われるばかりでなく、油流出を伴う場合は自然環境の破壊などの甚大な被害を及ぼします。 近年、我が国を取り巻く海上における通航船舶の実態は、日本籍の外航船が激減し、内航船、漁船がいずれも漸減する中、プレジャーボートや外国船が増加する傾向となっています。 それに伴って運航形態は複雑化し、船種、船型や舶用機器等は多様化し、乗組船員は混乗化が進み、それらの船舶が渾然一体となって同一海面を共有している状況がますます進展しております。 当庁としましては、このような海上交通を巡る環境の変化に的確に対応し、海難原因の究明を通じて海難の発生防止のため、より一層積極的に寄与していくよう「調査・裁決の迅速処理」、「裁決を広く再発防止に役立てる」、「業務の効率化」という三本柱からなる改革を進めております。 また、海難調査の国際協力においても、今年はアジア地域での海難調査国際協力模擬訓練を実施することになっており、外国船にかかる海難調査を拡充し、将来起こり得るこれら外国船にかかる海難に調査主導国として十分な対応ができるよう、海難調査体制の連携・協力の強化を積極的に推進しています。 この「海難レポート2003」が、海事関係者はもとより、国民の皆様に広く定着し、海難の現況等について理解を深める手助けとなり、海難防止の一助となれば幸いです。 |
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高等海難審判庁長官 |
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