第3章 裁決における海難原因 5/9
1 旅客船が関連した事件の海難原因
 旅客船関連事件の裁決36件中、対象船舶37隻の事件種類の内訳は右図のとおりです。
(1) 衝突事件
 衝突事件の裁決における、対象船舶15隻の海難原因は右図のとおりです。
(2) 乗揚事件
 乗揚事件の裁決における、対象船舶9隻の海難原因は右図のとおりです。
(3) 機関損傷事件
 機関損傷事件の裁決における、対象船舶9隻の海難原因は右図のとおりです。
〜旅客船S丸岸壁衝突事件〜
 6月5日、S丸(567トン)は、船長ほか4人が乗り組み、旅客77人を乗せて同日始発便として離岸を開始したところ、主機遠隔操縦装置に異常が発生して再度着岸したが、故障原因についての点検を十分に行わないまま再度発航し、離岸作業中クラッチが中立に戻らなくなり、岸壁に衝突した。
 衝突の結果、船首部に凹損を生じ、旅客5人が負傷した。

・機関長が、主機遠隔操縦装置の作動に異常を認めた際、電源の再投入を行うと正常に復旧したので、故障原因についての点検を十分に行わなかったこと。
・船長が、長年同装置の操作に携わった機関長から復旧の連絡を受けた際、同装置の点検状況の確認が不十分なまま再度発航したこと。

〜旅客船S丸遊漁船K丸衝突事件〜
 8月2日、S丸(3,260トン)は、旅客31人及び車両12台を載せて航行中、右舷船首方に衝突のおそれがある態勢で接近するK丸を認めたが、同船が自船を避けてくれるものと思い、同船の進路を避けないまま続航して衝突した。
 衝突の結果、S丸は擦過傷を生じ、K丸は船首部を圧壊し、K丸の釣客2人が骨折等の負傷をした。

・船長が、右舷前方に前路を左方に横切り衝突のおそれがある態勢で接近するK丸を視認した際、これまで遊漁船と接近した際は遊漁船が自船を避けてくれることが多かったことから、右転又は減速するなどしてK丸の進路を避けなかったこと。

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       表紙     海難レポート2003概要版
メッセージ-CONTENTS-外国船の海難-最近の海難審判庁の動き-海難審判庁のしごと-裁決における海難原因-海難分析-資料編
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