報告書番号 | MI2014-11 |
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発生年月日 | 2013年12月17日 |
事故等種類 | 運航阻害 |
事故等名 | 旅客船フェリー太陽運航阻害 |
発生場所 | 鹿児島県屋久島町一湊港北西方沖 屋久島町所在の一湊灯台から真方位286°1.6海里付近 |
管轄部署 | 門司事務所 |
人の死傷 | 負傷 |
船舶種類 | 旅客船 |
総トン数 | 200~500t未満 |
報告書(PDF) | 公表 |
公表年月日 | 2014年11月27日 |
概要 | 本船は、平成25年12月17日15時15分ごろ、船長、機関長、一等航海士及び一等機関士ほか2人が乗り組み、乗客3人を乗せ、トラック1台を積載し、屋久島町口永良部港(口永良部島)から同町宮之浦港(屋久島)に向かった。 船長は、屋久島町に強風、波浪注意報及び鹿児島海域に海上強風警報が発表中であることを知っており、口永良部港入港の約1時間前に口永良部島東方沖で北東風が風速15m/s以上であったことを確認していたが、翌日は北風の強風に変わると聞いていたので、航路が種子島の風下となる北東風の間に宮之浦港に帰りたいと思い、口永良部港を出港した。 本船は、口永良部島と屋久島間の屋久島海峡を約11ノットの対地速力で北北東進中、船橋前部の船橋コンソールの後方において、船長が操船指揮及び操舵を、機関長が船長の右隣で波の状況に合わせて両舷主機のスロットル調整を、一等機関士及び一等航海士が船長の左隣に並んで見張りをそれぞれ立って行っていた。 本船は、16時30分ごろ、左舷前方から波高約4mの大波が迫って来たので、機関長が機関のスロットルを下げたが、大波を船橋前面に受け、船橋前面中央の旋回窓付きガラス窓、左舷側旋回窓付きガラス窓及び左舷側ワイパー付きガラス窓の計3枚のガラスが割れて大量の海水が船橋内に打ち込み、船橋コンソール、航海計器、通信装置等が濡れて漏電し、正常に運航できなくなった。 機関長及び一等航海士は、窓ガラスの破片を浴びて顔面に切創等を負った。 船長は、船橋下の船客室の乗客及び船員室の乗組員に船橋へ上がるように、また、全員に救命胴衣を着用するようにそれぞれ指示し、乗客の携帯電話で屋久島町及び海上保安庁に本インシデントの発生を通報した。 船長は、漏電で舵を取ることができなかったものの、両舷主機が使用できたので、両舷主機のスロットルを操作して風波をしのぐことができる屋久島町一湊湾内に向けて南下を開始した。 船長は、南下開始後、スロットル操作のみで一湊湾に向かい、18時00分ごろ湾内に投錨したが、風が強くなって走錨したため、一等航海士及び一等機関士を舵機室に行かせ、トランシーバーを使い、船橋から指揮しながら、朝までに5、6回ほど錨の打ち直しを行った。 |
原因 | 本インシデントは、本船が、口永良部港を宮之浦港に向けて出港する際、航行中に発航中止基準である風速15m/s以上の北東風となるおそれがあったが、口永良部港を出港したため、屋久島海峡を北北東進中、波高約4mの波を左舷船首方から船橋前面に受け、船橋のガラス窓3枚が割れて海水が船橋内に流入し、船橋コンソール、航海計器、通信装置等が濡れて漏電が生じ、正常に運航できなくなったことにより発生したものと考えられる。 |
死傷者数 | 負傷:2人(機関長及び一等航海士) |
勧告・意見 | |
情報提供 | |
動画(MP4) | |
備考 |
本報告書の調査は、本件船舶事故に関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故及び事故に伴い発生した被害の原因を究明し、事故の防止及び被害の軽減に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではない。
本報告書の調査は、本件船舶インシデントに関し、運輸安全委員会設置法に基づき、運輸安全委員会により、船舶事故等の防止に寄与することを目的として行われたものであり、本事案の責任を問うために行われたものではない。
報告書の本文中「3 分析」に用いる分析の結果を表す用語は、次のとおりとする。