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[漁船J丸機関損傷事件(平成12年6月5日発生)から] | ||||||||||||||
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機関損傷の概要 | ||||||||||||||
本船は、毎年造船所にて行う定期整備の際、主機排気弁の経年劣化に対する配慮が不十分で、使用限度に達して強度が低下した排気弁が継続使用されたため、定期整備後2箇月経過したとき本州東方沖合で操業中、2番シリンダ排気弁が欠損して運転不能となった。 その後、僚船に曳航され帰港した。 |
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海難原因 | ||||||||||||||
機関長が、主機排気弁の経年劣化に対する配慮不十分であった。 整備業者が、主機排気弁の保守基準の確認不十分であった。 |
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機関長の運転管理状況 | ||||||||||||||
・J丸の建造時から機関長として乗り組んでいた。 ・取扱説明書に記載された排気弁の使用時間の面からの取替え基準を知らなかった。 ・毎年の定期整備の際、どのシリンダの排気弁が新替えされたのか、又は残された排気弁の使用時間等の来歴を記録していなかった。 |
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定期整備の状況 | ||||||||||||||
(機関長) | ||||||||||||||
・主機排気弁の定期整備を行うに当たり、整備業者に任せておけば大丈夫と思っていた。 ・定期整備に関して整備業者と打ち合わせをしたが、排気弁の新替え等に関しては何ら指示をしなかった。 ・今回の定期整備で、機関の開放及び復旧には立ち会っていなかった。 ・完工の2、3日前に帰船して工事内容を確認したが、2番シリンダ左舷側に劣化した排気弁が継続使用されていることに気付かなかった。 |
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(整備業者) | ||||||||||||||
・J丸建造時から機関の整備を継続して担当していた。 ・取扱説明書に記載されている主機排気弁の取替え基準に従い、基準寸法6.0ミリメートルの弁傘部肉厚が5.0ミリメートルに減少したものは新替えしていたが、同説明書には使用時間16,000時間を経過した排気弁も取替えるよう記載されていることを知らなかった。 ・主機排気弁の開放整備については、弁の肉厚計測等の結果から使用限度に達したもの5個について純正部品を使用して新替えし、残り7個についてはそのまま使用することにした。 ・排気弁の組込シリンダを決めていなかったので、各排気弁についてそれぞれの使用時間を把握することができなかった。 そのため、経年劣化により使用限度に達して強度が低下した排気弁を2番シリンダ左舷側に装着して復旧した。 |
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・取扱説明書をよく読み、理解すること。 ・取扱説明書で部品の交換基準が明記されているものについては、その基準を守ること。 ・機関保守整備の記録を整備し、使用時間の定められている部品の交換時期を見落とすことのないようにすること。 ・定期的に実施される開放整備については、本船側と整備業者(造船所)とが十分に打ち合わせを行うこと。 |
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本件後の改善策 | ||||||||||||||
整備業者は、交換部品の来歴を示す記録表を作成し、同表に基づいて部品の使用時間を把握して継続使用が可能かどうかを判断するなど、主機排気弁の保守基準に沿った整備を実施して同種事故の再発防止対策を講じた。 | ||||||||||||||
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